2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13546
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 早紀 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (20784010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 弁護人の立会い / 被疑者取調べ / 虚偽自白 / 取調べの適正化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,被疑者取調べにおける弁護人の立会い制度(以下,「立会い制度」)について①海外研究のレビューを行って立会い制度の実情やその効果検証について知見を収集し,②立会い制度による被疑者,取調官への心的効果についての実験的検証,③立会い制度下での被疑者取調べの録音・録画記録(以下,「可視化記録」)における映像の効果を検証し,その取扱いについての実験的検証を行うことで,日本における立会い制度の導入必要性と運用可能性について検討し,適切な制度運用について提言を行うことを目指している。 2023年度は②について取調官への心的効果の実験的検証を行った2020年度の検証結果の再検証を行った。本実験では参加者は模擬取調べ場面において取調官役となり,被疑者役の俳優に対して取調べを行った。その際,弁護人役の俳優が立ち会う条件と立ち会わない条件を設けた。取調べ中,弁護人は発言せず,被疑者の斜め後ろに着席した。取調べ前,参加者は事件の概要の書かれた書類を読み,被疑者が犯人かどうか,判断した。取調べは20分の時間制限を設けた。取調べ後,参加者は被疑者が犯人かどうかを判断し,取調べ時に感じたことなどを尋ねる質問紙に回答した。本実験では,被疑者が犯人かどうかの判断等に差はみられなかった。取調べ技術等,まずは取調べの仕方を学ぶ必要があることから,取調官については研修期間を設けるなど,実際の取調べに即した実験の実施の必要性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年に実施予定であった検証を2024年度に延期したため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,まず取調官と被疑者への心的効果の検証を行う。つぎに立会い制度下での被疑者取調べの録音・録画記録における映像の効果の検証を行う。結果をまとめて学会等での報告を行う。
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Causes of Carryover |
研究の見直しにより実施予定であった実証実験を延期したため,次年度使用額が生じた。立会いの効果測定・立会いのある取調べへの印象測定のため の実験実施および分析・結果の公表のために使用する予定である。
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