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2019 Fiscal Year Research-status Report

契約法上の担保的制度の具体的考察

Research Project

Project/Area Number 19K13550
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

岩川 隆嗣  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (20707781)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords民法 / 担保法 / 債権法 / フランス法
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、まず、同時履行の抗弁その他の牽連性に基づく契約法上の担保的制度について、2016年フランス民法改正後の議論の整理・検討を行った。その結果として、第一に、従来は双務契約という契約カテゴリーに結び付けられていた担保的制度が、同改正により双務契約上の債権であることを要件としなくなり、その適用に当たっては牽連性が存在するか否かが端的に判断されるようになったことを明らかにできた。もっとも、牽連性の内容については改正前と同様の議論が妥当しているため、同改正は担保的制度の要件に実質的な変更を加えるものではないといえる。第二に、同改正により設けられた明文規定に関して、従前の議論と連続性を有する問題と、改正により新たに生じた問題とを明らかにしつつ、両者について考えられる今後の解釈の方向性を示すことができた。以上の二点は、次年度に出版される雑誌論文をもとにした書籍において公表される予定である。
次いで、研究実施計画の通り、フランス法における多数当事者間相殺の合意を検討した。その結果として、第一に、二当事者間の相殺合意は、特にその実益の多かった店頭デリバティブ取引につき、通貨金融法典上の明文規定およびその複数回の改正により解決が図られていたことを明らかにできた。第二に、2009年以降は、店頭デリバティブ取引の清算集中義務が国際的に課されたこと等により、三当事者以上での相殺が主として問題とされているようであり、これも通貨金融法典上の明文規定により包括的な解決が図られていることを明らかにできた。細則は、清算機関の規則に委ねられているようである。第三に、フランス法解釈論としては、多数当事者間の相殺の対抗について肯定説と否定説が存在しているが、いずれにせよ、大部分の事例は以上の明文規定が適用される状況にあるようである。これらも、次年度以降に論文として公表される予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、2016年フランス民法改正後の議論状況について、代表的な教科書を網羅的に探究でき、また関連する論文の検討も行うことができた。業績の公表の目途も立っている。
また、多数当事者間相殺の合意については、社会の実需に応じて頻繁に改正が行われる先端的な金融取引に関する条文につき、その現在までの改正状況をフォローできた。もっとも、この問題については、明文規定を踏まえた解釈論までフォローする必要があるが、この点は未だ十分な検討をなしえていない。

Strategy for Future Research Activity

今年度の積み残し課題である多数当事者間相殺の合意の問題を、引き続き検討していく。特に、この問題を詳細に検討したフランス法の著者2名が、それぞれ相反する見解を採用するに至った点について、その理由を検討していきたいと考えている。

Causes of Carryover

出張の回数が想定より少なく、また書籍費に充てるために高価な物品の購入を控えたため。差引額は、次年度において出張費および書籍費等に充てる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 預金債権の共同相続後における金融機関による相殺2019

    • Author(s)
      岩川隆嗣
    • Journal Title

      NBL

      Volume: 1160号 Pages: 24-32

URL: 

Published: 2021-01-27  

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