2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K13553
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
根岸 謙 東洋大学, 法学部, 講師 (90824566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 債権関係 / 取引上の社会通念 / 信義則 / 債務関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、改正民法下でより強調された当事者の関係という概念を、ドイツ法の債務関係概念を参考にして、その枠組みを構築するとともに、これまでの民法学における個別論点の中で、同概念の法解釈上の有用性を検討するものである。 2021年度は、改正民法下の民事法において当事者の関係という概念がみられるかにつき、横断的な検討を進めてきた。昨年度までの研究成果を踏まえ、条文上の規定にみられる関係概念を起点としたアプローチをするのではなく、実際の事例の中から関係概念の有用性を検討するというアプローチを加えこととした。その主たる成果として、「高齢身元保証契約と一体化した死因贈与契約についての公序良俗性」というテーマでの報告(日本成年後見法学会判例研究委員会)および裁判例研究(拙稿・実践成年後見94号(2021年9月)89頁から97頁)があげられる。また、複数の当事者が絡む任意後見契約の中でも、特に近時、問題が深刻化しつつある濫用事例を取り上げて、契約という関係性に影響を与える任意後見制度上の問題点についての検討も行った。その主たる成果として、拙稿「イングランドおよびウェールズにおける永続的代理制度の改善策に向けての議論をめぐって-日本の任意後見制度の濫用防止策の検討素材として-」東洋法学65巻3号(2022年3月)145頁から174頁があげられる。 研究期間全体を通して、本研究では債権関係概念の枠組みを把握すべく、様々な領域の中で横断的に同概念の有無や有用性について検討を加えてきた。今後は、これまでの研究を踏まえ、関係概念の有用性に関する総論的研究にまで手を広げていきたい。
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