2019 Fiscal Year Research-status Report
子の引渡し及び子との面会交流事件の展望―ハーグ条約実施法を契機として
Project/Area Number |
19K13554
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今津 綾子 東北大学, 法学研究科, 准教授 (80708206)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家事事件手続 / 民事執行法 / ハーグ条約実施法 / 子の引渡し / 面会交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度にあたる2019年度は、研究の基礎となる情報の収集に努めた。具体的には、国内外の文献収集とともに、首都圏及び関西圏の研究者や実務家との情報交換を通じて、本研究のテーマであるところの子の引渡しや子との面会交流に関する現在の実務の動向等についての知見を深めるとともに、その内容を適宜整理して、今後の成果とりまとめに備えた基盤づくりを進めていった。 当初の計画では、ハーグ条約実施法の制定を機に国内における子の引渡し事件や面会交流事件がどのように処理されるようになったかという現状把握、及びそこから将来におけるその種の事件処理がどのように行われるべきかを主たる研究対象として想定していた。この点に変更はないものの、初年度の情報収集期間を通じて、監護親(及び子)への養育費の支払という問題についても併せて検討していく必要があることを認識するようになった。というのも、たまたま法務省及び厚労省の担当部署や自民党の有志議員との意見交換の機会を得たことが契機となり、この問題が研究者はもちろん社会的にもたいへん大きな関心事となっていることが分かったからである。本研究の成果を社会に還元するに際しても、養育費の問題に触れることは有益であると考えられるところであり、とりわけ年度の後半においてはこの問題についての情報収集にも積極的に取り組み、各方面からさまざまな知見を得た。 本研究は緒についたばかりであるものの、2019年度中に公表した成果物もいくつかある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って、基本的な資料の収集を進めることができた。年度の後半には、社会情勢の変更に伴い、予定していた国内出張が一部中止となるなどしたものの、研究全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところおおむね当初の計画に沿って進展しており、今後も研究計画の内容に従って研究課題を推進していく予定である。 もっとも、次年度については産前産後休暇及び育児休暇の取得に伴い、研究を一時的に中断することを予定している。そのため研究期間を当初の予定よりも延長することになるが、研究の内容自体には大きな変更はないものと見込んでいる。
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Causes of Carryover |
当初は2019年度より4か年計画であったが、産前産後休暇及び育児休暇の取得に伴い研究中断期間が生ずることとなった(これに関しては、すでに補助事業期間の延長を申請し、承認されている)。それに伴い、当初2019年度に支出予定だった費用(主に物品費)を計画よりも後ろ倒しで支出するよう計画を改めたため、次年度使用額が発生した。この額については、研究を再開した後に、当初予定していた内容のとおり執行する予定である。
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