2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13558
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
脇田 将典 金沢大学, 法学系, 講師 (70734656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 組織再編 / 公開買付 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、株主による組織再編の差止めの訴えの望ましいあり方を外国法を参考としながら考察することを目的とする。 今年度の研究は、これまでの日本法に関する研究を総括することを中心とした。具体的には、組織再編の差止めに関する学説、立法を可能な限り網羅的に調査し、整理を試みた。そして、従前の議論の問題点を把握した。つまり、従前の議論の問題点として、差止めの問題を検討するための論点が網羅的に扱われていないという点と、差止め以外の制度と差止めの関係を十分に検討していないという点を挙げることができる。これらの問題点を踏まえて、分析の枠組みを構築した。本研究は、外国法を参照するため、その際の分析の枠組みをあらかじめ構築することが必要であると考えたからである。以上の検討の結果を論文にして公表した。ただし、下記の事情で公開買付けを前置する組織再編とは分離して研究を進めている。 日本において組織再編を行う際には、株式の公開買付けをあらかじめ行ってから、会社法上の組織再編の手段を用いることも多い。本研究では、そのような公開買付を前置する組織再編も検討したいと考えている。しかしながら、研究を進める過程で、日本の公開買付規制には、それ自体としてさまざまな問題があることが判明した。そのため、まず、それらに対して一定の見通しを与えてから、組織再編において公開買付けが用いられる場合における差止めの問題を検討する必要があると考えた。そこで、公開買付規制における形式基準の特別関係者の概念を検討し、論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本法の調査・整理を済ませ、外国法を検討する際の分析の枠組みを得ることができた。外国法の分析を効果的に行うことが期待できる。また、公開買付規制に問題があることを認識し、その検討に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、外国法の分析を行う予定ある。ドイツ法に関する分析を行い、次いでアメリカ法の分析を行う。ドイツ法については、合併に関する株主総会決議の効力を争う訴えについての裁判例、学説を中心的に分析する。アメリカ法については、組織再編に対するinjunctionに関する裁判例、学説を中心的に分析する。公開買付規制については、それ自体の問題の検討を継続する。
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Causes of Carryover |
残額が少なく、必要な物品の購入費としては不足したため次年度使用額が生じた。来年度の物品費として使用予定である。
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Research Products
(2 results)