2020 Fiscal Year Research-status Report
契約内容に対する主観と客観の影響―契約補充理論を中心として―
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19K13559
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山代 忠邦 関西学院大学, 法学部, 准教授 (80738881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 契約法 / 契約内容 / 契約補充 / 意思自律 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,契約類型と契約補充の関連という観点から,契約内容に対する主観と客観の領分を明らかにすることを目的の1つとするものである。 研究2年目の2020年度は,前年度に引き続き,民法典1194条(旧1135条)の機能に関する文献調査を行なった。その中で,旧1135条と現1194条の連続性を考察した。また,フランスにおけるフランチャイズ契約をはじめとする流通契約(contrat de distribution)の契約内容に関する議論状況の分析もした。そこから,流通契約というネットワーク型の契約に属するものに関して,供給業者(fournisseur)及び販売業者・流通業者(distributeur)の負う本質的債務の中には,合意で定められていなくとも民法典1194条(旧1135条)を根拠として課されるものがあることがわかった。さらに,流通契約では,供給業者,販売業者・流通業者及び顧客の間の垂直的な関係だけでなく,直接の契約関係にない,流通ネットワークを構成する各販売業者・流通業者間の水平的な関係も問題とされていることがわかった。これらのことから,流通契約は,当事者意思が契約内容の確定及び合意への効力付与に対して影響を与える要件及び範囲並びに当事者意思あるいは客観的規範を基準とした契約補充の長所・短所を明らかにするための考察対象に適していると考えられた。そのほかに,COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が契約内容に与える影響も調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外出張を行い,本研究に関する資料収集・調査を行うことを予定していたが,コロナ禍の影響により渡航ができなくなり,今後の研究の進め方を再考しなければならなくなったため,研究に遅延が生じている。また,考察対象として流通契約が適していると考えられ,当該契約類型に関する調査を行う必要が生じたため,その部分について,研究に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
流通契約に関する考察を進め,フランス法における契約補充と意思自律の原則の関係を明らかにすることを試みる。そして,フランス法に関する考察結果をもとにして,日本法における契約補充,契約内容の調整のあり方について示唆を得て,研究成果をまとめるようにする。
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Causes of Carryover |
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行により予定していた文献収集・調査のための海外出張をはじめ,出張を行うことができなかった。そのため,旅費について,当初の見込みを大幅に下回ることとなった。 次年度もCOVID-19の影響を受け,出張が制限されると考えられることから,考察対象に加えた流通契約に関する書籍の購入費用などに充てる。
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