2019 Fiscal Year Research-status Report
決済機能を有する民法規定の体系的研究ー多数当事者の決済を中心としてー
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19K13562
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉垣 正一郎 名古屋大学, 法学研究科, 特任講師 (30814074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 決済 / 相殺 / 多数当事者 / 民法 / 債務の消滅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「多数当事者間の決済において、無権限取引・瑕疵ある取引が行われた場合に、利用者の損害・損失の回復請求権を理論的に基礎づける、民法の基礎的理論を提供すること」である。本研究の重要性は、現代の決済取引の特徴(二当事者間の債権債務関係の消滅に関して、第三者が関与していること、複数の債権債務関係が集中的に一括で清算されること)、及び、民法の規定の現状(二当事者間の個別の債務消滅原因が中心とし、三当事者を予定した規定がほとんどないこと等)を踏まえ、学理上、民法上の新たな決済理論を提供することにある。 本研究の開始当初は、その研究の第一段階として、「決済(債務の消滅)として機能する民法の各規定の共通点、相違点及びその相互関係の体系的整理を行うこと」、「現在の決済取引における債務消滅に至るまでの法構造の解明を行うこと」の2つを予定していた。 しかしながら、1年目(2020年度)は、広義の三者間相殺を中心とする、従来の先行研究及び重要な判例(平成28年最判[最判平成28年7月8日民集70巻6号1611頁]、平成24年最判[最判平成24年5月28日民集66巻7号3123頁]、平成7年最判[最判平成7年7月18日判タ914号95頁]など)から抽出される、現在の理論的到達点の整理・分析が中心となった。その理由は、上記の研究目的を達成するためには、三者間相殺における上記到達点を正確に整理・分析する必要があるからである。 したがって、1年目は、本研究の目的を達成するための、準備的な研究期間となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画よりも、少し遅れている。 その理由は、上記1「研究実績の概要」のとおり、本研究の目的を達成するための準備的作業が必要であるところ、ところ、海外からの一時帰国が困難となり、資料の収集・整理を含めたとりまとめ作業が遅れているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(2021年度)は、前年度(2020年度)の調査・分析内容の研究を進めることに加えて、当初予定していた大二段階の研究の進め方も並行して実施することを予定している。
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