2022 Fiscal Year Annual Research Report
フランス法の検討を通じた物的担保の民事執行手続による実行の意義についての研究
Project/Area Number |
19K13564
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬戸口 祐基 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20707468)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物的担保 / 担保権実行 / フランス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、物的担保が服する民事執行手続上の規律の意義を明らかにした上で、各種の物的担保の実行方法のあるべき姿を、倒産制度も視野に入れつつ、提示することを目的とするものであるところ、2022年度は、主として、フランス法の下での、倒産時における物的担保の実行方法についての検討を進めた。 倒産時における物的担保の規律は、2019年から本格的に進められていた法改正のための準備作業における検討対象の1つとされていたところ、最終的に実現した2021年9月15日のフランス担保法改正においても、倒産時における物的担保の規律が大きく変更されることはなかったことが明らかとなった。すなわち、特に再建型の倒産手続においては、問題となる物的担保が伝統的な形式のものであるか所有権に依拠する形式のものであるか、問題となる実行方法が裁判所の下での競売であるかそれ以外のものであるかにかかわらず、一定の倒産手続上の制約に服するのが原則でありつつ、担保権者が担保目的財産について留置権を享受する場合には倒産手続上の制約にかかわらず物的担保に一定の実効性が認められていることが判明した。 これらの検討結果は、物的担保の実行方法を検討するに際して、伝統的な形式の物的担保と所有権に依拠する形式の物的担保との間の区別や、裁判所の下での競売による実行とそれ以外の方法による実行との間の区別が、倒産手続上の制約の要否を当然に左右するわけではないことを示唆している。そしてそのことは、日本法の下での、倒産時における物的担保の実行方法についての規律を考えるうえでも参考になるものと考えられる。
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