2019 Fiscal Year Research-status Report
Free Speech and Legal Ethnic: A case study on lawyers discourse
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19K13580
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
郭 薇 静岡大学, 情報学部, 講師 (80733089)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法曹倫理 / 法情報 / 弁護士 / メディア / 表現の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度における研究の目的は、実証調査の初期準備として、これまでの弁護士による情報発信の規制モテルを調査することにあった。主として文献調査による研究であるが、先行研究の文献のみで情報化が弁護士の行動に与える影響を考察するのが困難であるため、台湾にて予備調査を実施した。 文献調査の主要な成果は、次のものになる。弁護士による情報発信への規制は、公正な裁判の運営、消費者(当事者)の保護そして弁護士(集団)への信頼維持といった三つの文脈で行われてきた。公正な裁判の運営や消費者(当事者)保護の視点に由来する規制は、それぞれ特定の裁判または弁護士―依頼者の関係に限定されているものであると指摘できる。他方、2000年以後裁判外紛争処理や予防法務など法的サービスの拡大において、特定の依頼者以外の情報発信が新たに求められるようになる。日本の事例を素材に、一般向けの法情報の意義と課題についての再考や、現在弁護士自治の形で弁護士会がそれらの行動を指導しているが、司法中心の伝統的な弁護士像から明確な判断基準を導くのが容易ではないという問題について検討を行った。 台湾での現地調査では、実務家や研究者との意見交換からいくつか重要な示唆を得た。第一に、新規弁護士数の増加と発信活動との相関関係が検証された。2011年以後弁護士人口が3割に増加した台湾では、SNSやテレビ出演で活動する弁護士が増えており、代理中の事件のみではなく一般の時事問題をめぐる弁護士言論も活発になっている。第二に、台湾の裁判所は注目度の高い裁判に関するプレスリリースに加え、市民討論会や映画祭の参加など広報活動にも力を入れているのを知った。そこで、多様多種なリソースによる法情報が存在する社会において、弁護士による情報発信への規制は緩やかであるという仮説に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度においては、①国内外の法曹倫理における弁護士言論の位置付けを考察する諸研究を概観し、②実証研究を遂行するための研究方法と研究範囲を精緻化することを予定していた。 ①について、2019年度において、台湾での調査出張は予定通り実施し、司法部(法務省相当)の広報担当者、台北弁護士会と法曹倫理の研究者、計10人の半構造的インタビューを実施し、弁護士による情報発信の拡大の背景やその影響について問題の状況を調査することができた。他に、弁護士会アメリカ研究者との間で意見交換を実施する予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響で国際出張が不可能になったが、日本国内で開催された国際学会で当該研究者との対面交流が実現し、アメリカ法上の規定やその背景をおおむね把握することもできた。 ②について、日本国内の学会、研究会に参加し、本研究の理論的枠組を検討する機会を得た。また、予備的現地調査を行うことで、調査の仮説を再調整し、今後の調査方法を再確認することができた。 以上より、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度において、2019年度の研究結果を踏まえ、成果を公表する準備を行う。論文の作成の過程において、専門職のあり方と情報活動について、多くの疑問点、更なる理論的な検討が必要な点が出てくると思われる。そこで、2020年度においても、文献の調査、とくに職業社会学関連の検討を引き続き行う予定である。 以上の文献調査を進めながら、日本において2010 年以後の主要な新聞における弁護士言説の引用傾向を調査し、マスメディアにおける弁護士情報の使用状況を分析する。また、弁護士情報に特化したネットメディアである「弁護士ドットコム」の記事を素材として取り上げ、特にPV数の高い記事に着目し、テキストの内容と編集方針、拡散径路、弁護士の属性(登録年数、地域、得意分野など)との関係を解明しながら、弁護士による情報発信の役割とそれへのニーズを検討する。以上の分析を通して、日本における弁護士による不特定多数向けの情報提供の実態を把握する。検討対象となる記事の数が膨大であると予想するため、情報処理の専門家の助言を伺いながら、テキストマイニングを含む量的分析も視野に入れ、効率よく研究を進むことを計画している。
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Causes of Carryover |
2019年度に予定していたいくつの出張が新型コロナ(Covid 19)感染拡大など予期しない事情の影響により中止になったため、当初予定していた出張旅費が未使用になった。これについては、一部を2020年の出張費用に充てるか、出張が困難の場合オンライン通信の費用に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)