2019 Fiscal Year Research-status Report
非類似の物品にかかる形態の保護における不正競争防止法2条1項1号の位置づけ
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19K13581
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
末宗 達行 早稲田大学, 法学学術院, 講師(任期付) (80822254)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Passing off / 不正競争防止法 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ法及びイギリス法との比較法的見地から、不正競争防止法2条1項1号のもと、非類似の物品に対する形態をどのように保護すべきか、及びその保護の根拠・存在意義を明らかにするものである。2019年度は、主にイギリス不法行為類型Passing offのもとでの非類似の物品に対する形態保護のあり方に関する文献及び現地研究者への聞き取り調査の実施を行う予定であった。 検討を進める中で、比較法的見地からの検討を行うに際しては、研究目的である不正競争防止法2条1項1号の現在の学説や判例の現状を把握しておく必要があることから、当初の予定より前倒して、日本法に関する文献資料の収集を開始した。 2019年9月には、ロンドンにてロンドン大学クインメアリー校J. Griffiths教授との面会・研究打ち合わせを行い、形態の保護に関連する法であるイギリスの不法行為類型の一つであるPassing offや著作権法に関する近時の動向について意見交換を行い、また、現地にて資料収集を行った。特に、欧州司法裁判所により下されたCofemel事件先決裁定が特に注目され、Brexit後のイギリス法への影響についての見通しについても意見を交換した。また、非類似の物品に対する形態の保護の検討においては、「商品等表示としての使用(商標的使用)」も問題となりうるため、商標的使用の検討も並行して実施しており、それに関連して検索連動型広告に関する商標的使用が問題となった事案の判例評釈を担当する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2019年度は、主にイギリス不法行為類型Passing offのもとでの非類似の物品に対する形態保護のあり方に関する文献及び現地研究者への聞き取り調査の実施を行う予定であった。前述のとおり、ロンドンにて、J. Griffiths教授の協力を得て、上記の予定は達成し、必要な資料の収集も進展している。他方で、帰国後に調査に基づいて分析を行っていたところ、2020年2月ごろより、新型コロナウイルス感染症の影響があり、研究継続に大きな支障が生じた。 以上の状況を総合的に判断するならば、おおむね順調に進展している、と現時点では言い得るものと思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、2020年度においては、アメリカLanham法43条a項のもとでの非類似の物品に対する形態保護のあり方に関する文献及び現地研究者への聞き取り調査を実施することとしていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響から、現地での聞き取り調査は極めて困難であろうと考えられる。また、資料へのアクセスも制約が大きいものと考えられる。 そのため、2019年度の現地調査等に基づき、イギリスにおけるデザイン保護法制に関する分析、検討を中心として行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
前倒し請求により、図書費の支出に備えたところ、前倒し請求時の見積もりよりも実際に要する費用が低く済んだため。 2020年度は、前年度の現地調査等に基づき、イギリスにおけるデザイン保護法制に関する分析、検討を中心として行うことを予定していることから、そのための図書費に上乗せして充当することとする。
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Research Products
(1 results)