2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on security rights in intellectual property of Japan and France.
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19K13583
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
原 謙一 西南学院大学, 法学部, 准教授 (80759192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知的財産権 / 担保物権 / 包括担保 集合担保 / 著作権 特許権 実用新案権 意匠権 商標権 / 日仏比較法 / ブロックチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
知的財産権を目的とした担保制度について最新のインターネットを通じた手法まで含め、図書・雑誌による文献調査を実施し、従来の担保法・知的財産法の枠組みからみて、現状の法制度をどのように評価するか検討し、さらに、実務の動向を聞き取り調査したうえで、現在の日本法上の制度的な課題を整理した。なお、その一端を論文にて公表している。 また、従来の議論からみると、債権や株券等の担保化と異なり、知的財産権の担保化については著しく法的議論が乏しく、その意味で法制度上の変化も乏しいことが判明した。すなわち、質権による知的財産権の担保化はもちろん、譲渡担保権、企業抵当権または財団抵当権との関連で見ても議論や実例が乏しいことが明確になった。 ただ、近時のブロックチェーンの目覚ましい発展に伴い、それを用いたネット上の貸付け及び担保権の設定も議論されている。その流れの中で、無体の財である知的財産権を同様に担保化する可能性もあり、このような可能性も視野に入れ、より有用で簡易な担保手法についても検討し、研究会にて報告した。 上記の調査・検討から得られた日本法の状況や課題は、知的財産権をはじめとした無体の財を頻繁に担保化するフランスの状況と対比すると著しい差がある。そこで、本来は次年度に予定していたフランス法の研究まで一部進めることで、日本の法制度との比較研究を進めた。 これらの検討は、日本の企業の大半を占める中小企業や有用なコンテンツを保有する企業において企業活動の一環として知的財産権を資金調達に利用しやすくし、また、金融機関としても債務の引き当てなき融資を避ける資金提供を実現し、知的財産権を社会の中で活用する道を開く現実的な重要性を有する。同時に、この検討は知的財産権をはじめとした無体の財を社会の中でどのように法的に位置づけ、活用していくのかという検討も含まれており、理論的な意義をも有するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来、2020年度に実施するはずであったフランス法における文献調査まで一部実施しており、その成果を含め各研究会で報告している。 したがって、これまでの文献調査及び聞き取り調査は当初計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はフランス法に関する文献調査を継続し、その後、フランスにて聞き取り調査を実施する予定であった。 しかし、新型感染症の流行に伴い仏語文献の入手に著しい困難が生じており、また、フランス現地での調査は極めて困難な状況にある。 とはいえ、2019年度にフランス法に関する文献調査を予定以上に進めたことで、仏語文献の一部をすでに入手しており、また、フランスにおける現地調査に代わるものとして、現地研究者とネット通信の方法によって聞き取り調査を実施する可能性も検討している。 よって、調査の方法を一部変更することで、所期の研究を進めることを予定している。
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Causes of Carryover |
使用上の端数が生じたが、次年度図書費等で利用する予定である。
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Research Products
(4 results)