2023 Fiscal Year Research-status Report
「汚職との闘い」をめぐる政治:現代ロシアにおける腐敗防止政策の展開
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19K13585
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
油本 真理 法政大学, 法学部, 教授 (10757181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロシア / 汚職対策 / 野党 / 反体制派 / 権威主義体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も、昨年度に引き続き(1)野党勢力による汚職批判が政権に与える影響、および(2)ロシアにおける各種の反汚職政策、に関する研究を進めた。特に多くの時間を割いたのは(1)の野党に関する検討である。そのための第一歩として、ロシアにおける政党システムの変遷を改めて確認する作業を行った。その成果として挙げられるのが『現代ロシア政治』(油本真理・溝口修平編、法律文化社)の第5章「政党・選挙」およびコラム「アレクセイ・ナワリヌイ」である。ここで、改めてこれまでのロシアにおける政党システムの変遷と、そこにおける野党の位置づけについての考察を行った。2024年2月にはこれまで汚職批判の急先鋒として活動を続けてきたアレクセイ・ナワリヌイ氏が獄中で死亡するという衝撃的な事件が起きたこと、さらに同年3月の大統領選挙が社会的な関心を呼んだことなどを受け、選挙や政党に関する一般向けの文章を複数発表した。これらの論考において明らかにした現在のロシアにおける野党の動向は本研究課題にも反映させる予定である。また、(2)についても追加的な作業を行った。特に、2010年代のロシアにおいて実施された資産公開制度の展開、「エリートの国家化」(公職者による海外銀行口座の保有禁止)、公職者のパージといった複数の政策領域が相互にどのような関係にあったのかという点がその検討の主題となった。これらの諸政策の概要とその相互作用を明らかにすることは、プーチン政権下において実施された反汚職の全体像把握のための重要な準備作業となる。2010年代ロシアにおける汚職対策についての最終的な研究成果は2024年度中に公刊予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウクライナ侵攻の影響は昨年度と同様であり、ロシアへの渡航や現地での調査は依然として難しい状況にあるが、この間にインターネットを使った各種情報へのアクセスやその評価について一定の経験を積むことができた。全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの研究において明らかにしてきた各アクターの選好や政策決定プロセスを統合し、ロシアにおける反汚職の全体像を明らかにした論文を公刊予定である。
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Causes of Carryover |
ロシアによるウクライナ侵攻の開始により現地調査の見込みが立たなくなり、当初予定していた旅費の支出がなくなったため。
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