2022 Fiscal Year Annual Research Report
「アラブの春」以後の社会保障:エジプト、チュニジア、ヨルダンの比較分析
Project/Area Number |
19K13591
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河村 有介 神戸大学, 国際協力研究科, 助教 (00784125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会保障改革 / 中東・北アフリカ / 権威主義体制 / エジプト / チュニジア / ヨルダン / 食料危機 / 黒海封鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エジプト、チュニジア、ヨルダンという、中東・北アフリカ地域の3ヶ国を事例として、社会保障制度改革における政治指導者の選択が国民にどのような影響をもたらし、それが権威主義体制にどのような効果をもたらしたのか明らかにすることを目的としていた。 当初の計画では、事例3ヶ国における「アラブの春」以後の社会保障政策の動向について現地調査を実施し、その知見をもとに比較分析を行なう予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によって、助成期間中の現地調査を断念した。そのため、ヨルダン及びチュニジアに関する事例研究や比較分析が当初の予定よりも遅れてしまい、これまで申請者が主たる研究対象としていたエジプトに関する研究成果の公表が中心とならざるを得なかった。 その一方で、本年度は、大きく分けて二つの進展が見られた。第一に、中東・北アフリカ地域の食料危機に関する共同研究の実施である。中東・北アフリカ地域では、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、食料価格の高騰が見られ、再び食料価格補助制度の社会保障としての重要性に注目が集まった。そこで、日本国内の研究者と食料危機に関する研究会を組織し、域内各国の農業・食料政策や食料価格補助政策について意見交換をし、このテーマに関する知見を深めることができた。 第二に、国際共同研究の実施である。申請者は、本年度、中東・北アフリカ社会政策ネットワーク(MENA Social Policy Network)の拠点である英国バース大学での在外研究の機会を得た。在外研究期間中には、同じくバース大学で在外研究中のトルコ人研究者と、中東・北アフリカ地域の女性労働者に対する社会政策に関する国際共同研究を始めることができた。これらの研究成果を本年度中に公開することが叶わなかったが、来年度中には学術論文という形での公開を予定している。
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Research Products
(1 results)