2019 Fiscal Year Research-status Report
異なる選挙制度の組み合わせが投票参加に与える影響―制度間不均一の包括的分析―
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19K13593
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小川 寛貴 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (80825258)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 選挙制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として日本を対象としたデータ分析を実施するための準備を進めた。具体的には、市町村レベルの選挙データ、投票参加分析が可能な世論調査データを収集した。以上の作業を通じて、制度間の不均一を分析する上で重要なデータであるとともに、収集作業が大きな障壁になると思われる、市町村レベルのデータを一通り揃えることができた。同時に、次年度以降の分析に向けて、収集したデータを用いた予備的な分析を実施して、異なるレベルの選挙制度と投票率に一定の関係性が見られることを確認した。なお、選挙タイミングや政党間競争のずれ、無投票といった、制度間不均一と投票率の関係を条件づけると思われるデータについては収集作業は継続中である。 また、実際の分析としては、市町村レベルの選挙データを世論調査データに接合した分析を行った。この分析は直接的に制度間不均一と投票参加の関係を分析したわけではないが、異なるレベルの選挙制度が有権者に影響を与えていることが確認できた。分析結果からは、議会選のみならず首長選挙(知事選)も有権者に影響を与えうることが明らかにされるとともに、分析対象の衆議院議員選挙と同じ国政レベルの議会選挙である参議院議員選挙の影響が確認される一方で地方議会選挙の影響は確認できなかった。この分析成果から、本研究課題のメインテーマである制度間不均一と投票参加の分析を進めていく上で重要な示唆を得ることができた。この分析の成果は、2020年度に論文として発表されることが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市町村レベルの分析に必要なデータをおおよそ収集するとともに、それを用いた世論調査データの分析が実施できた点から、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、市町村レベルのデータを利用した集計データあるいは世論調査データの分析を進め、日本を対象とした分析を進めていく。同時に、その後に実施予定の国際比較分析に備えて、国レベルのデータ収集を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、第1に、コロナウィルスの影響で年度末については多くの出張予定が変更となったために、旅費の執行が少なくなった。第2に、データ収集の方針転換によって予定していたデータ購入を見送ったために物品費の執行額が少なくなった。今後の使用計画としては、一部はデータ収集のための人件費として、一部は当初の予定通り必要なデータの購入費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)