2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K13595
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
白谷 望 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (40780119)
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Project Period (FY) |
2019-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | モロッコ / 君主制 / 権威主義体制 / 選挙 / 議会 / 政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究課題に関連する複数の論文(書籍内論文含む)が出版された他、その最終成果として、権威主義的君主制下における選挙の機能をモロッコの王党派政党の役割に注目して分析し、その結果を日本中東学会年次大会で発表した。また発表内容を修正し発展させ、論文としてまとめる作業に注力した。 モロッコでは、1990年代から政治的自由化が進められ、その後は定期的に選挙が実施されるようになった。ここで注目すべき点は、(1)選挙結果に基づき定期的に政権交代が起こっている点、そして(2)国王と近い関係にある王党派の政党が、ほとんどの選挙で勝利していない点である。独立後のモロッコにおける選挙結果および政党組織の離合集散過程を詳細に分析すると、王党派政党が、いかなる政党も大規模な動員力をもたない(複数の政党が連立を組まざるを得ない)「分極的な政治領域」の再生産に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 また、モロッコの事例に注目したこれらの分析結果の汎用性を確認するため、他のアラブ君主制諸国の議会・選挙制度に関する資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、本研究課題に関連する複数の論文(書籍内論文含む)が出版された他、その最終成果を国内学会で発表することが出来た。その内容を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿することが課題として残されているものの、本研究課題をさらに発展させるために必要な資料の収集を行うなど、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる2024年度は、2023年度に日本中東学会年次大会で発表したモロッコの王党派政党に関する研究成果を修正・発展させる形で国際学会で発表し、その内容を論文として学術雑誌に投稿する。 また、本研究課題において残された課題を整理して2025年度以降の研究課題の構想をまとめ、早い段階でその計画を練り上げることを目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国際学会への参加がかなわなかったため、旅費を中心に未使用額が生じた。これらは2024年度に計画している国外での調査及び学会発表で使用する予定である。
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[Book] Knowledge and Power in Muslim Societies: Approaches in Intellectual History (うち執筆分 "The Politics of the Bay'a Ceremony in Modern Morocco" pp. 317-336)2023
Author(s)
Sajjad Rizvi (ed.), Kazuo Morimoto (ed.), Ian Richard Netton, Istvan T. Kristo-Nagy, Emily Selove, Mohammed Sanad, Hisashi Obuchi, Tetsuro Sumida, Ryo Mizukami, Nobuaki Kondo, Tatsuya Nakanishi, Nozomi Shiratani, William Gallois, Keiko Sakurai, Emi Goto, Shigeru Kamada
Total Pages
430
Publisher
Gerlach Pr