2019 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける地方自治制度改革の研究:二元代表制と住民投票制度の比較分析
Project/Area Number |
19K13597
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
小林 大祐 東洋学園大学, 人間科学部, 講師 (40802723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドイツ / 市長公選制 / 住民投票制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は次の3つの作業に取り組んだ。第1は、首長公選制や住民投票制度が地方自治体の意思決定に対して与える影響についてである。当該研究は既存の研究を用いて検討する必要があるため、ドイツの文献資料についてはドイツ国立図書館で収集を行った。これらの資料を基にドイツの首長と地方議会との関係について各州を比較して整理した結果、以下の2点の特徴が判明した。1つは、首長の制度的な強さが必ずしも政治的な強さに連動していないことであり、首長と地方議会との関係が協調的な構造を持つか、あるいは競争的な構造を持つかという点も重要であることが明らかとなった。いま1つは、現在の制度が首長公選制導入以前の制度の影響を受けていることであり、微細な差異が生じた背景が析出された。他方、住民投票制度が及ぼす影響についてはさまざまな事例研究が散見されるものの、必ずしも体系的に整理されておらず、この点を整理かつ検討することが新たな課題となった。なお、この調査の結果、バイエルン州の事例を扱うことで分析結果が豊饒となることが示唆されたため、事例として追加することにした。 第2は、首長公選制および住民投票制度の導入の経緯についてである。双方の制度はともに1990年代に急速に各州に普及したが、その契機は異なっており、必ずしも双方が連動した改革でなかったことが判明した。この点の詳細な経緯については、引き続き研究を進める。 第3は、具体的な事例の資料収集である。ザクセン州のさまざまな事例については、ザクセン州立図書館や各市議会から新聞記事資料や議事録を収集した。また、選挙データ等については、その他の地域についても概ね収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の進捗については、予定よりも進んでいる部分がある一方で、予定よりもやや遅れている部分も存在する。具体的な事例に関する資料収集については当初よりも早い段階で収集できており、一部については整理かつ検討の段階まで進めている。他方、渡独の際に行うことを予定していたドレスデンでのインタビュー調査が日程の関係で叶わなかった。ただし、オンラインによるインタビューを予定しており、計画の遅れは挽回することができる。なお、その他については基本的に予定どおりの進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画については、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける可能性が極めて高いため、柔軟に対応できるように備える予定である。2020年度中にバーデン=ヴュルテンベルク州、ヘッセン州、ハンブルク州およびバイエルン州の資料調査、および各都市へのインタビュー調査を予定しているが、これらが困難となった場合、2021年度の夏季に順延する。この作業に代わり、2021年度に発表、執筆を予定していた作業を前倒しし、可能な部分は2020年度に着手する。 その他、2年目の作業に予定している首長公選制と住民投票制度が導入された経緯について、およびこれらのどの部分が交錯したのかについて研究を進める。また、収集したデータや国内で収集可能なデータから、各都市の意思決定事例を整理する作業を進める。
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Research Products
(1 results)