2022 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける地方自治制度改革の研究:二元代表制と住民投票制度の比較分析
Project/Area Number |
19K13597
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
小林 大祐 東洋学園大学, 人間科学部, 准教授 (40802723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 市長 / 首長公選制 / ドイツ / 住民投票 / リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ドイツの地方自治制度改革を素材として、地方自治体の首長の選出方法、ならびに住民投票制度の有無や差異が地方政府の政治構造にどのような影響を与えているのかについて検証することである。2022年度は次の3つの作業に取り組んだ。 第1は各種資料・データの収集である。2023年1月末から2月初めにかけて渡独し、本研究で必要かつ現地調達を要する資料やデータについて調えることができた。なお、渡独のタイミングが遅くなったこと、ならびに新型コロナウイルス感染症の影響を回避する目的から、当初予定していたインタビュー調査を取りやめ、対象都市を増加させ比較分析する方法に研究計画を変更した。 第2は、首長のリーダーシップについて関する比較分析である。初年度の基礎調査において、地方自治制度改革以前の制度や政治構造が改革以降も作用し、首長と地方議会との関係が協調的であるか、あるいは競争的であるかが鍵となることを示した。この点について、既存の意識調査資料ならびに政策過程を対象として、リーダーシップの差異にどのような特徴が見られるか検討した。その結果、「直接的」な影響力を高く担保した制度を持つ首長より、そのような制度を有さない首長のほうがリーダーシップを発揮していることが示唆された。この作業の結果は研究会にて報告を行った。 第3は、住民投票事例における首長の影響についてである。事前に収集できていたザクセン州の事例を中心として検討した結果、必ずしも首長は「直接的」な影響を及ぼしていないことが示された。作業途中ではあるものの、他州について同様の傾向が見られる一方、首長の調整力が住民投票に影響している可能性が浮上した。この点については本年度末に収集した資料を基に、引き続き検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象地域や調査方法の見直しなど、研究計画の一部を変更したが、新型コロナウイルス感染症の影響により、渡独による資料収集(2回目)のタイミングが遅れたこと、この点に伴って研究成果の発表が遅れていることから、進捗は遅れている状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
渡独が必要な資料を基本的に調達し終え、その整理検討は順調に進められている。そのため、次年度は滞留していた研究成果の公表を行い、本研究を完遂させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、インタビュー調査から調査対象を増やし既存の資料やデータを用いる方法に変更したことから、謝礼を必要としなくなった。また、研究成果の公表が遅れていることから、これにかかる未使用額が生じた。 次年度は、研究成果の発信に必要な費用、ならびに新たに刊行された資料を中心とした複写費用に充てる予定である。
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