2019 Fiscal Year Research-status Report
昭和戦時期の体制秩序と戦時平時の政治経済体制の総合的研究
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19K13599
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
米山 忠寛 法政大学, 大原社会問題研究所, 研究員 (50738755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本政治外交史 / 日本政治史 / 戦時体制 / 総力戦体制 / 統制経済 / 昭和立憲制 / 戦時平時 / 革新派論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は研究計画の初年度であり、主に研究の分析枠組みの構築に主眼を置いて研究を進めていくことになった。研究資料の収集・購入や、研究調査・出張などについては一部を2年目以降に計画変更で移す所もあった。 本研究の特徴は、戦時平時の政治経済体制について異質なものとしてではなく、状況に応じて対応が必要となる発想の切り替えの関係で見ていこうとする点にある。この点は研究代表者のこれまでの一連の研究とも関連したものである。 加えて政治経済体制の分析に際して今後必要になるかもしれないのは、近代日本政治の中での「政党政治」研究についての扱いである。近代日本政治史研究においてはこれまであたかも政党政治の隆盛を描くことが研究の目的であるかのような扱いがなされることがあった。ある意味で現代と似た過去を探すという発想だろう。とはいえ、現代と似ているから重要だということにはならないし、現代と似た部分しか説明できないということになればむしろ歴史研究としては自殺行為とさえ言える。現代とは違う、価値観や秩序の説明や発見にこそ、現代社会に対して異なる価値観を示す意義が生まれるとも言えるだろう。 この点は謂わば近代日本政治史研究の未熟さと言っても良いかもしれない。となるとこれまで見落とされてきた「政党政治」以外の中に政治経済体制としての価値観を改めて体系的に示すことが研究全体の進展に繋がるのではないかと期待している。 2019年度には全国学会での学会報告2回やその他研究報告など、今後の成果につながる内容について途中段階でのまとめを示した点で意義があったと考えている。 このような問題意識や分析視角に基づいて本年度も研究成果を公表することとなった。本年度は研究報告の機会が多かったが、次年度の成果公表に向けて執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究計画の初年度であったが、おおむね順調に進展している。当初予定よりも研究費の支出額が少なくなったのは想定外であったが、その点は並行して進んでいた他の研究計画での支出の成果によって本研究計画での支出が節約できたということでもあり、むしろ想定外の予算節約に成功したものとして好意的に捉えていきたい。初年度に進んだ研究を予算面で余裕が出た部分も含めて次年度以降も活発に展開させていきたいと考えて居る。2019年度の全国学会学会報告2回などから順調に研究を進展させていけるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は初年度の研究の蓄積を活かして研究を進めていく。とりわけ初年度の研究報告・学会報告の内容などについて執筆を進めて、ある程度まとまった政治経済体制についての既存の枠組みとは異なる過程の描写に向けて進めていきたい。
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Causes of Carryover |
研究計画については概ね順調に進行しているが、今年度は研究枠組みの設定などに力点が置かれ、多額の支出の必要となる研究資料の購入や出張(研究調査)などについては、計画当初から順番を入れ替えて次年度の支出に移す部分が多くなった。また並行して進行していた他の研究計画と重複する部分について、もう一方の研究計画からの支出で当初予定していた研究成果が達成できたことで本研究計画からの支出が不要となった場面があった。
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Research Products
(8 results)