2023 Fiscal Year Research-status Report
Structural Analysis of Incorporated Administrative Agencies towards comparative understanding of public service reform in Japan
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19K13600
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
中村 絢子 国際大学, 国際関係学研究科, 講師(移行) (10769699)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | 独立行政法人 / システマティック文献調査 / データ構築 / 行政改革 / 政治的要因の特定 / 政策間比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
独立行政法人の改廃のメカニズムを明らかにする本研究プロジェクトにおいて、2023年度は、以下の活動を行った。 1.データセットの拡大・変数の追加:2022年に2022年3月まで観察期間を延長した独立行政法人の改廃データについて、担当省庁の大臣の交代と総理大臣の交代、また、政策分野ごとの改廃リスクの分析のための政策コードを追加した。これにより、独立行政法人の改廃リスクに関連する要因をさらに多く検討することが可能となり、より包括的な独立行政法人分析が可能となった。これまでの研究で、日本の独立行政法人の改廃には、非常に限定的な状況で政治的要因が改廃リスクを増加させることが分かった。このことは、日本型独立行政法人が、英国などのエージェンシーモデルと比して、改廃のリスクが非常に低いことを示唆している。 2.サバイバル分析の勉強:2024年に、完成したデータを用いて独立行政法人の改廃リスクを分析するのに必要な、統計知識を向上させるため、STATAオンラインコースを受講した。これにより、分析に必要なコマンドや、より高度な分析手法の検討が可能となった。 3. エージェンシー研究についてのシステマティック文献調査:国内外のエージェンシーの先行研究を構造的に理解するため、システマティック文献調査を開始した。これまでの文献調査と異なり、質的調査用ソフトNVIVOを使用して、キーワードとコード分析を行い、先行研究における所見、研究テーマ関連のブラインドスポットを明らかにすることができた。 4.日本語による書籍の一章の担当:これまでの研究成果を基に、『公共政策学辞典』の「独立行政法人」の章を担当・執筆した。独立行政法人が、国際的にみてどのような位置づけにあるかを明らかにした。すでに原稿提出・校正を終えており、2024年10月に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、本研究は2023年3月に終了する予定であったが、研究開始後にコロナウィルスの感染拡大により、研究が大幅に遅延した。主な理由は、コロナ渦の為、子どもを家庭で保育しなければならない状況が続き、2021年から2022年にかけてほとんど研究時間が取れなかったことによる。 2023年の研究進捗は、夏季の成果報告のための学会発表が、こどもの感染症でキャンセルことを除いて、おおむね計画通りである。 しかしながら、過去2年の研究遅延の影響から、当初の70パーセントほどの完了状況である。データの完成まであと半年程度、分析結果の報告と論文の査読し提出まで1年弱の時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究完了に向けて以下の活動を行う予定である。 1.システマティック文献調査の完成:昨年開始した、システマティック文献調査を完了し、結果を査読市に提出する。夏以降の提出を予定している。 2.独立行政法人データの完成:2024年8月までに、独立行政法人の改廃にかかわるデータを完成させる。 3.国際学会での独立行政法人の改廃リスクについての成果報告:2024年6月にPublic Management Research Conference 2024 において、独立行政法人の改廃についての成果報告を発表する。学会での評価を基に、英語論文を完成させ、2024年8月までに査読市に提出する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究者の大学業務の多忙と子育、およびコロナ渦により、当初より研究の進行が遅延したことがあげられる。203年度は当初、研究計画に基づいて、国際学会に出席する予定があった。2023年6月にオランダで行われた、Public Management Research Conference 2023にて、成果報告を行う予定であったが、こどもの病気でキャンセルとなった。さらに、このオランダへの渡航を利用して、英国のUniveristy of Exeterおよびドイツポツダム大の研究者を訪問し、研究に関する助言を仰ぐ予定であったが、渡航がキャンセルとなったためこちらも中止となった。結果的に、当初旅費によって消化する予定だった予算が消化できず、次年度使用額が生じた。 その為、当初の計画より研究機関を1年延長する必要が応じた。すでに、延長承認申請書を提出しており、2023年にこなせなかった研究業務を2024年に完遂する予定である。 具体的には、6月にシアトルで開かれる国際学会、PMRC2024にて成果報告をする。さらに、9月にアテネで行われる国際学会、EUROPEAN GROUP FOR PUBLIC ADMINISTRATION Annual Conferenceにも応募する予定である。
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