2023 Fiscal Year Annual Research Report
全国紙の論調は極性化しているかー計量テキスト分析によるアプローチ
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19K13607
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細貝 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (30582259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内容分析 / 機械学習 / 新聞の極性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの予備分析の結果を踏まえ、追加でデータを収集するとともに、分析で用いる機械学習手法(教師あり学習)を複数試行、比較検討し、分析パフォーマンスの向上を目指した。その一部は学内の研究会で発表しフィードバックを得た。今後、学会発表あるいは査読誌への投稿を目指してペーパーを執筆中である。 本研究の目的は、巷で指摘されるような新聞の極性化現象が実際に起っているのか、新聞記事のテキスト分析から実証的に明らかにすることであった。近年急速に普及している教師あり機械学習の手法を用いて、テキストの分類を行い、その分類精度の高低によって、記事の極性化の程度を測定しようと試みた。 2000~2020年までの20年間、4つの全国紙のサンプリング記事を対象とした分析の結果、新聞の極性化現象ははっきりとは見いだせなかった。いくつかの先鋭的な争点において新聞記事の極性度が高いことは判明したが、その他の争点の極性度は穏健であった。「原発」争点のように社説では新聞の論調が異なると判断されるものでも、社説以外の一般記事を分析に含めると、差異は明確ではなくなった。 一方、上記の知見は本研究が用いた分析手法によっても影響を受ける。本研究にあたって、複数の手法を比較検討したが、採用するモデルやデータの入力条件によって、分析結果が不安定になる現象がみられた。機械学習手法の革新は著しいため、今後、より精度の高い手法が開発される可能性がある。教師あり機会学習のテキスト分析への適用は本研究の貢献と考えているが、その精度については今後改良の余地がある。
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