2023 Fiscal Year Research-status Report
スペインとイタリアの比較研究に見る連邦制的分権化改革の帰結
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19K13611
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
永田 智成 南山大学, 外国語学部, 教授 (20734932)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方分権化 / 独立運動 / 地域ナショナリズム / スペイン / イタリア / カタルーニャ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スペインとイタリアという両国において、連邦制的分権化改革がどのように推進され、どのような効果がもたらされたのかについて検討することを目的としている。 一定の結論を導き出すべく、本研究課題は最終局面に来ているが、2023年度中に結論となるべき論文を公刊するには至らなかった。2024年度中の論文公刊をもって、本研究課題の締めくくりとしたい。 現在残っている課題は主に2つある。ひとつは、統一通貨ユーロへの参画に際して行われた諸改革が、結果として分権化を推進したということである。通常、スペインにおいて、国政レベルでは左派政権が分権化に好意的であり、右派政権はその逆であると理解されるが、最も分権化が進んだ時代は右派政権の時代であった。そしてユーロの初期メンバーになるという状況においては、イタリアでは左派政権が担当し、分権化が進んでいる。このようにより大きなメカニズムの中では、左右関係なく改革が推進されるということがわかった。 もうひとつは、コロナ禍を経て、現在のカタルーニャでは独立運動は沈静化しているように感じられていたが、独立運動の最終的解決として、2014年以降の独立運動にかかわる司法判断を全て取り消すことを柱とする恩赦法案が下院に提出されるに至り、問題が再燃していることである。運動の沈静化を図る政策そのものが社会運動の再開をもたらすという状況について検討することも新たな課題としてあがっている。 今後は、この上記2点についてまとめることを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、渡航できなかった期間があるとはいえ、本来であれば、2021年度中に完成しなければならない課題であり、2022年度におこなった現地調査の成果を2023年度中にまとめなくてはならなかったからである。 学内の事情であるが、2022年度末で学科の教員が2名退職となり、2023年度は定員より1名少ない状態で学科運営を余儀なくされ、多忙を極めたため、十分に研究課題に取り組む時間がなかったことも研究が遅れている要因のひとつである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後取り組むべき課題は主に2つである。 ひとつは統一通貨ユーロへの参画に際して行われた諸改革が、結果として分権化を推進したということである。通常、スペインにおいて、国政レベルでは左派政権が分権化に好意的であり、右派政権はその逆であると理解されるが、最も分権化が進んだ時代は右派政権の時代であった。そしてユーロの初期メンバーになるという状況においては、イタリアでは左派政権が担当し、分権化が進んでいる。このようにより大きなメカニズムの中では、左右関係なく改革が推進されるということがわかった。 もうひとつは、コロナ禍を経て、現在のカタルーニャでは独立運動は沈静化しているように感じられていたが、独立運動の最終的解決として、2014年以降の独立運動にかかわる司法判断を全て取り消すことを柱とする恩赦法案が下院に提出されるに至り、問題が再燃していることである。運動の沈静化を図る政策そのものが社会運動の再開をもたらすという状況について検討することも新たな課題としてあがっている。 本研究課題の締めくくりとして、この2点について引き続き取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通り進められたが、残金は誤差範囲であり、あえて言うならば、研究のまとめとしての論文の公刊ができなかったので、その執筆に際しての必要な文献の購入ができなかったということがあげられる。
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