2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13614
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
築山 宏樹 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (60800480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方選挙 / 地方議会 / 政治過程 / 選挙制度 / 因果推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに整備した地方選挙データベースに基づく分析結果について、国際シンポジウムなどで研究成果報告を行った。具体的には、日本の全市区町村長の選挙結果と、当該自治体の財政データとを組み合わせて、現職の首長の再選が、当該自治体の財政運営に及ぼす影響を推定した。まず、本研究課題では、既に①都道府県議会選挙では、選挙区定数が小さいほど、現職議員が再選されやすいこと、②市区町村長選挙では、自書式投票が現職者の再選確率の上昇と相関していることが明らかになった。前記の研究は、これらの現職優位の政策的帰結、とりわけ市区町村長の再選が自治体の財政運営にどのような帰結をもたらしうるかを検証するものである。接戦選挙に基づく非連続回帰デザインの分析結果からは、現職の首長が僅差で再選された自治体では、現職の首長が僅差で落選して新人の首長が就任した自治体に比べて、任期の後半になるにつれて総務費や投資及び出資金などの行政費用が増加することが示された。広範な歳出費目に及ぶものではないものの、現職の再選が行政組織の硬直化をもたらす可能性があるのではないか。一方、研究の過程では、国政選挙と地方選挙の異質性から、分析結果の理論的解釈について異論が付されることもあった。そこで、次年度は、既に国際シンポジウムなどで報告済みの分析結果を国際的なジャーナルに投稿するとともに、地方選挙そのものの特殊性についても、追加的な分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、引き続きコロナ禍で海外渡航が困難になったことや、データセットについて既存データの利用可能性などが出てきた関係から、特に研究費の執行計画に遅延・変更が生じた。加えて、研究課題の分析結果を解釈するために、国政選挙と地方選挙の異質性・特殊性について追加的な調査を行う必要が出てきたことから、補助事業期間の延長を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
追加調査を行うために、既に調査会社と打ち合わせを行っており、次年度の早期の段階で、地方選挙の特殊性に理論的に注目した調査実験を行う予定である。また、前年度に国際シンポジウムなどで報告した分析結果も、順次、投稿を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
引き続きコロナ禍で海外渡航が困難になったことや、データセットについて既存データの利用可能性などが出てきた関係から、特に研究費の執行計画に遅延・変更が生じた。加えて、研究課題の分析結果を解釈するために、国政選挙と地方選挙の異質性について追加的な調査を行う必要が出てきた。本調査実験を行うために、本年度中から調査会社と打ち合わせを重ねたが、調査設計が年度内に完了せず、調査会社の正式な見積もりを得るまでに至らなかったため、研究費の執行ができなかった。次年度は、参院選後に調査実験を行い、研究費を速やかに執行したい。
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Research Products
(5 results)