2022 Fiscal Year Annual Research Report
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19K13614
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
築山 宏樹 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (60800480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方選挙 / 地方議会 / 政治過程 / 選挙制度 / 因果推論 / サーベイ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、日本の地方選挙の選挙データを利用して、選挙制度や選挙競争の機能を明らかにすることを試みてきた。前年度までの主たる研究成果として、(1)都道府県議会の異なる選挙区定数における接戦選挙回帰不連続デザイン(RDD)に基づき、選挙区定数の増加に従って現職効果が低下すること、(2) 市区町村長選挙結果を用いた傾向スコアによる逆確率重み付け推定法に基づき、自書式投票は記号式投票に比べて特に他の選挙との同時選挙において無効票を増加させること、(3) 市区町村長選挙の接戦RDDに基づき、現職者の再選が任期後半において行政費用を増加させる可能性があることを明らかにした。 上記に加えて、最終年度には、日本の有権者を対象としたサーベイ実験を実施して、首長や地方議員などの地方政治家に対する有権者の選好を明らかにすることを試みた。具体的には、日本の有権者に対して候補者選択型のコンジョイント実験を実施して、以下の知見を得た。(1) 日本の有権者は、国会議員に対してより有能と評価される属性を、地方議員に対してより共感的と評価される属性を好みやすい。しかし、国会議員と地方議員で全く異なる選好を有しているわけではない。また、(2) 国政与野党が同一候補者に推薦・支持を与える「相乗り枠組み」に対する有権者の選好を調査したところ、都道府県知事選挙の立候補者について、政党推薦のない無所属候補と比べても、自民党と野党が推薦する相乗り無所属候補を否定的に評価しておらず、有権者は相乗り枠組みを嫌っているわけではないことが明らかになった。最終年度を含め、本研究課題の研究成果については、順次、国外内の査読付き学術誌に投稿することを予定している。
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Research Products
(4 results)