2021 Fiscal Year Research-status Report
新たな同盟像の提示に向けて-「対称・非対称ハイブリッド型同盟」としての日米同盟
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19K13622
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
吉本 真弓 (板山真弓) 国士舘大学, 政経学部, 講師 (10806566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日米関係 / 防衛協力 / 日米安保体制 / 同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、既存の日米同盟の捉え方を見直し、新たな日米同盟像を提示することである。すなわち、非対称同盟、もしくは「物と人との協力」という既存の捉え方に代わる「対称・非対称ハイブリッド型同盟」(対称同盟、非対称同盟双方の特徴を備える同盟)という新たな同盟の類型を提示し、これが日米同盟を捉える上で、適切な概念だということを実証的に示す。また、この「対称・非対称ハイブリッド型同盟」に見られる、特有の「分担再編メカニズム」を導出することにより、日米同盟の動態を体系的に示す。 2021年度は、以上の議論を行うために必要な日米両国の一次史料を収集する予定であったが、コロナ禍の影響により、米国での史料収集が困難な状況が続いた。この状況は、ある程度予期していたことだったため、2020年度に開始した新たな研究を進めた。具体的には、日米同盟における防衛協力の公式化を可能にした背景について考察するべく、国立公文書館、外交史料館等において史料収集を行った。また、研究の成果をまとめた論文を執筆し、出版した(「日米同盟における防衛協力の公式化 ─首相及び与党の思想及び政治的立場に注目して(一)」『政経論叢』189号、179-204頁)。この論文では、秘密裡に実施された防衛協力の公式化がなされるか否かには、この問題に対する日本の政治家の思想、そして勢力分布が影響を与えるとの考えより、主に吉田政権に注目する形で分析を行った。今後は鳩山政権から福田政権までの分析を実施し、論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、2021年度に計画していた資料収集は予定通り実施することができなかった。しかし、新たな研究テーマを設定し、そちらに関する調査及び論文執筆は順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況が変化し、公文書館も開きつつあるため、2022年度は可能な限り、これまでにできなかった資料収集を進めることとする。具体的には、米国国立公文書館(メリーランド州カレッジパーク)、陸軍戦史研究所(ペンシルバニア州カーライル)、海軍歴史センター(ワシントンDCネイビーヤード)、空軍歴史研究局(アラバマ州モンゴメリー)、大統領図書館(ジョンソン(テキサス州オースティン)、ニクソン(カリフォルニア州ヨーバリンダ)、フォード(ミシガン州アナーバー)、カーター(ジョージア州アトランタ)等での調査を実施する。 同時に、2020年度より開始した、日米同盟における防衛協力の公式化に関する研究も継続し、鳩山政権から福田政権までの分析を実施することとする。こちらについては、主に国立公文書館(東京)、外交史料館(東京)での史料収集を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、2021年度の米国での調査が実施不可能となったため、旅費の支出がなかった。2022年度も同様の米国での調査を予定しており、2021年度の余剰額は、2021年度の調査期間を当初の計画よりも長いものとするべく使用することとする。コロナ禍の影響により、もし、それが叶わない場合には、新たなテーマに関連する日本での調査に使用することとする。
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