2021 Fiscal Year Research-status Report
The Expansion of Territorialism
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19K13623
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡辺 敦子 金沢大学, GS教育系, 准教授 (10821837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 領土 / 帝国 / Global IR / 比較政治思想 / 概念史 / 国際秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家を構成する基本概念である「領土」の近代日本における発展を明らかにすることである。非西洋国家としては初期に成立した西洋型近代国家である日本における同概念の受容と発展の歴史を、乖離しがちである国内の先行研究と英語圏の理論的研究の成果を、学際的につなぎ合わせ、成果を、国際政治分野における英語の主要査読誌で発表することで、近代国際社会の成立における日本の歴史的な関与を、国際的な研究の文脈で明らかにしたい。 今年度は、昨年度から引き続き資料の読み込みを行いつつ、複数の論文の改稿を行った。そのうち派生的な成果ではあるが、そのうち教育に関する1本がすでに出版され、さらに2本が間も無く英文査読誌から出版される。まず1本は、遠藤周作の思想と、英国の宗教学者ジョン・ヒックの思想を、グローバルIRの議論の文脈において比較する論文である。1度目の査読の結果はマイナーリビジョンであり、現在2度目の査読を受けている。また、2019年に開催された国際会議で組織したラウンドテーブルを、他の参加者5人と共に原稿化し、「フォーラム」として英文学術誌に投稿した。こちらはすでにアクセプトされている。 このほか、本題については、「帝国」概念に関する論文と、そして実証研究部分のパイロットスタディとなる論文、さらに、インド太平洋に関する論文を執筆している。まず1本目は、6月に行われるフローニンゲン大学でのワークショップ(招待)で発表する予定である。2本目についても、ドイツの研究者らと共に行う共同研究の一部として2022年度に国際会議での発表を行う。3本目については、22年度中の英文学術誌への投稿をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記したように派生的な部分での成果が多く出ている。3年間で3本の英文学術誌での発表は、満足できる成果であると自負している。 本題に関しては、2022年度からの若手研究に引き続き採択されているため、目標としていた単著の執筆については、今年度以降本腰を入れていきたい。また、昨年度は、合計3つの関連する国際共同研究の招待を受けた。このことは、この3年間で国際会議で発表を繰り返してきたことが、他に例を見ない研究として、高く評価されたものと考える。このため、進捗状況としては予定より遅いかもしれないが、それは内容が予想以上に大きく発展し、充実したものとなってきたためと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずは昨年オファーをいただいた3つの共同研究を進め、国際会議に多く出席し、英文査読誌への投稿を進めることで、当初計画した通り自己の研究を国際的な文脈に位置づけていく。さらに研究の理論的枠組みについては、ここ数年で急速に発展してきた国際政治学の議論を大きく取り入れ、アップデートした形で(しかし終わりのない状態にならないよう留意しつつ)、単著の執筆を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、海外学会参加、リサーチができなかったため。2022年度の使途については、図書などの購入、論文の英文校正サービスに使用する。
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Research Products
(7 results)