2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13626
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
大村 啓喬 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50609344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 旗の下の集結効果 / 世論 / 国際危機 / 観衆費用 / 男女差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際危機や政府が対外的な軍事行動を起こした場合に、政府に対する有権者の支持率が短期的に上昇する「旗の下の集結効果(Rally ‘Round the Flag Effect)」という現象を実証分析することを目的としている。 上記の目的を達成するために本年度は以下の2つの作業に取り組んだ。第1に、インターネットを用いたサーベイ調査の第2回目、第3回目、そして第4回目を実施した。同調査では、昨年度と同様に日本の安全保障環境に対する脅威認識、安全保障政策に対する政策選好について幅広く質問を行っている。具体的には、第2回目の調査では、対外脅威に対する日本政府の対応への評価が脅威の源泉国・地域への国民の感情や認識(好き嫌い/重要視の度合いなど)によってどのように変化するのかを調査した。第3回目の調査では、自衛隊の多国籍軍への参加を決定した日本政府の対応への国民の評価が政府の決定への野党の賛否と多国籍軍の活動の成否によってどのように変化するかを調査した。第4回目の調査では、同盟国である米国の安全保障政策への日本国民の評価が大統領のタイプ(タカ派/ハト派)によってどのように変化するかを調査した。 第2に、昨年度収集した調査データを用いて、安全保障上の政策や約束を実行しなかった場合に、有権者によって与えられる制裁(観衆費用)の大きさが、男女間でどのように違いがあるかを分析した。本分析から、男性は戦略的理由から政府が対応を実施しなかった場合に制裁を控える一方で、女性は人道的理由及び国際協調的理由から政府が対応を実施しなかった場合に制裁を控える傾向にあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、本研究の目的を達成するために必要な複数回インターネットを利用したサーベイ調査を実施することができたが、各調査の研究計画及び質問票の作成に時間がかかったため、調査時期が年度後半に集中してしまい収集したデータの分析及び論文作成に十分に取り組むことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、すでに分析及び論文作成が済んだものについて、それぞれ論文作成及び学術誌へ投稿を行う。また、2021年度に収集したデータを用いた分析作業を随時進め、早い時期での論文完成、投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度は、実施したサーベイ調査の費用が想定よりも安価であったため、余剰が生じた。研究費の残額は、2022年度の研究活動において英文校正費の一部として利用する予定である。
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