2020 Fiscal Year Research-status Report
大量破壊兵器の拡散の相互作用に関する理論・実証研究
Project/Area Number |
19K13627
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日高 薫 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい研究員 (70806124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安全保障 / 国際関係論 / 大量破壊兵器 / 軍縮不拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、核兵器の拡散と生物化学兵器の拡散の相互作用に関する理論仮説を提示し、実証することを目的とするものである。2020年度は、本研究プロジェクトの二年目にあたる。研究実績としては、以下の三点で進展があった。 第一に、大量破壊兵器どうしの関係性に対する国際社会側の認識について、米国ニクソン政権の軍備管理軍縮政策の決定過程を明らかにした事例ベースの研究結果が、国内の査読付き学術雑誌にアクセプトされた。本プロジェクトの議論のベースとなる「大量破壊兵器どうしの連関」が実際に当事者によって認識されていたということが実証面で裏付けられたことは、研究成果として大きな意味を持つ。 第二に、対象国における政軍関係と国際社会との相互作用を分析した研究成果については、昨年度に海外学術雑誌に投稿済みとなっていた論文4本がいずれも掲載決定までたどり着けておらず、想定よりも苦戦している。しかしながら、リジェクトされた論文の再投稿も含めていずれも査読プロセス自体は着実に進んでおり、来年度中のアクセプトも見込まれることから、一定の進展と言える。 第三に、データセットの構築については、予定していた海外調査が新型コロナウイルスの影響によりいずれも実施困難となってしまったことから、切り口を修正しつつ、国内からアクセス可能な資料で可能な限りの対応を試みた。具体的には、WMDの拡散と使用に関する当事者の言説についてのデータセット構築に着手した。現状ではデータをまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、(1)新型コロナウイルスの影響で、海外調査が遂行できず、データセット構築において大幅な予定変更を余儀なくされたこと、(2)投稿していた論文の査読プロセスが思うように進展していないこと、という二点から鑑みて、やや遅れ気味と評価した。 もっとも、(1)については、国内からのデータ収集と分析作業を進めることはできており、それを元にした論文の執筆についても目処が立っていること、(2)についても、研究成果の公開が全くできなかったわけではないことから、大幅な遅れとまでは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの最終年度にあたる来年度は、(1)投稿済みとなっている論文をアクセプトに持っていくこと、および(2)整備中のデータセットを元にした論文の執筆を進め、年度内に成果公表すること、が主たる目標となる。(1)については、4本中、査読中(under review)以降に進んでいるものが3本であり、まずはこれらを確実に掲載するための修正作業を最優先としたい。(2)については、現状ではまだ論文にまとめる形までは進んでいないため、部分的にリサーチ・アシスタントを雇用して追加作業を行うことを視野に入れつつ、早い段階で執筆作業に移行したい。
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Research Products
(3 results)