2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructing International Economic Order: G6/7 and a Rising Japan, 1975-1983
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19K13631
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
白鳥 潤一郎 放送大学, 教養学部, 准教授 (20735740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 主要国首脳会議 / G7サミット / 国際経済秩序 / 日本外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主要国首脳会議(G6/7サミット)について1975年の第1回(ランブイエ)から政治問題も主要議題として討議する形に変容する1983年の第9回(ウィリアムズバーグ)までを太守に検討し、先進国間協調体制というグローバルな国際政治経済秩序の問題に「経済大国」として取り組んだ日本外交を構造的に把握することを目指している。
本研究の第一年度は、以下の通り、史料収集や整理・公刊に向けた作業が中心となった。研究実績の概要は以下のとおりである。これまでの研究の過程で収集した国内外の外交文書の整理を行った他、有償のオンラインデータベースや公刊史料の導入を進めた。とりわけ、各回首脳会合の議事録を入手し、整理できたことは研究上の大きな進展に繋がるものと言える。また、本研究題目の前史にあたる時代に「経済外交」を担った朝海浩一郎元駐米大使の日記の公刊に共編者として携わった(河野康子、村上友章、井上正也、白鳥潤一郎編『朝海浩一郎日記 : 付・吉田茂書翰』千倉書房、2019年)。その他、複数の関係者への聞き取り調査を実施し、内1名については第二年度に回顧録としての刊行の目途を付け、さらに冷戦終結前後の政治問題が中心的に討議された時期の主要国首脳会議に関する基礎的な検討を行った。なお、草稿が完成している第5回(東京)サミットについては、第二年度の投稿に向けた準備作業と推敲を行った。
上記の作業を通じて、主要国首脳会議開始以前の時代における経済問題をめぐる日本外交の実相への理解を深めると共に、回を重ねるごとに制度化が進んだ初期の主要国首脳会議の模様や、回によって異なる首脳会合における議論の詳細や日本政府内の意見対立の基本的な構図が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大きく三つの理由から本研究は「やや遅れている」と考えている。第一に、本研究課題の直接的な分析対象である1975~1983年ではなく、その前後の時代に関する予備的な検討や史料収集や公刊に研究時間を割くこととなった。第二に、研究成果や関連史料の公刊の入稿が年度後半となったことで公刊した成果に乏しい。第三に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる状況が深刻化したことで、2月~3月に集中的に実施予定だった国内外における史料収集が延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一年度は、直接的な分析対象ではなく前後の時代に関する予備的な検討や史料収集等が中心となったが、第二年度は1975~83年の検討や史料収集を集中的に進める。ただし、本研究課題を進める上で柱の一つとなっていた外国(米国、英国、カナダ、オーストラリア)における史料収集は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が終息しない場合に難しい可能性が高く、第二年度はオンライン上での調査や史料の取り寄せを中心に行う他、事態の推移によっては国内の公刊及び未公刊史料を中心に収集・分析するよう柔軟に対応する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大及びパンデミックによって年度末に実施予定だった海外史料収集を延期したため、次年度使用額が多額に上った。基本的には延期した海外史料収集に充てる予定だが、COVID-19をめぐる状況次第では海外史料収集に代えてオンラインデータベースの導入や公刊史料の購入及び海外からの史料取り寄せに充当することも検討する。
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Research Products
(1 results)