2019 Fiscal Year Research-status Report
"Appeasement" Reconsidered: Continuities and Discontinuities in British Diplomacy, 1866-1939
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19K13634
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大久保 明 日本大学, 国際関係学部, 助教 (90802728)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際政治史 / 宥和政策 / イギリス外交史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀後半から20世紀前半にかけてのイギリスの対外政策を一次史料に基づき再検討し、「宥和政策」に関する理解を修正することを目的とする。「宥和政策」とは、他国との交渉と妥協を通じて平和維持を目指すことと定義でき、その意味において「外交」という営みの中核に位置する政策である。しかし、先行研究では、「宥和政策」を1930年代に特有の現象と捉えるものが多く、第二次世界大戦を防げなかった「負」の側面が強調される傾向が依然として強い。本研究では、同政策を19世紀以来のイギリスの長期的政策の延長戦上に捉えなおし、各時代におけるイギリスの外交当局者の認識を一次史料に基づき精査する。そうすることで、「宥和政策」が、国力の限界から起こった一過性の現象ではなく、イギリスの対外政策のより深層に位置する伝統に根ざしていたことを明らかにする。「宥和政策」の実態を史料に基づいて明らかにすることで、現代外交や国際関係論に関する隣接分野への貢献も期待され、波及効果があると考える。 上記の目的を達成するべく、2019年度には、ロンドンのイギリス国立公文書館およびバーミンガム大学図書館にて史料調査を実施した。前者では、1930年代のイギリス外交文書を収集し、後者ではネヴィル・チェンバレン首相およびアントニー・イーデン外相の関係文書を収集した。これは交付申請時の研究実施計画の通り実施できた。それに加えて、学術誌に研究論文を発表することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、2019年夏季にロンドンのイギリス国立公文書館およびバーミンガム大学図書館にて史料調査を実施した。前者では、1930年代のイギリス外交文書を収集し、後者ではネヴィル・チェンバレン首相およびアントニー・イーデン外相の関係文書を収集した。それに加えて、学術誌に研究論文を発表することもできた。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、19世紀後半から20世紀中葉にかけてのイギリス政府資料のさらなる調査を実施し、当該期イギリスによる宥和政策の実態解明を進めていく。具体的には、イギリス外務省および内閣府資料、さらにはイギリス政府高官の個人文書を調査する予定である。そのうえで、調査結果をまとめ、学術論文ならびに学術書を順次発表していく計画である。
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Research Products
(2 results)