2020 Fiscal Year Annual Research Report
Critical analysis of the data generation process on civilian casualties in armed conflict
Project/Area Number |
19K13639
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
五十嵐 元道 関西大学, 政策創造学部, 准教授 (20706759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 武力紛争 / ICTY / 人権 / 国連 / 国際人道法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、武力紛争に関するデータの生成の構造とその歴史を調査・分析した。とりわけ、その構造における国際組織の役割に着目し、研究を行った。本研究は次の2つのことを新たに明らかにした。 第一に、国際組織による武力紛争調査において、法医学者をはじめとする科学的専門家がどのように登用され、どのような役割を果たしてきたのかを解明した。とりわけ、本研究は、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)の事例に着目し、その設立から審理に至るまで、科学的専門家の役割、また個々人の経歴などを調査した。この調査の結果、(1)現在の国際組織による武力紛争調査では、科学的専門家が不可欠であり、それは種々の分野にまたがっていること、そして、(2)こうした科学的専門家は、政治的に中立であろうとするが、構造的に政治的闘争の内部に位置せざるを得ないこと、などが明らかになった。以上の研究成果は、五十嵐元道(単著)「紛争の死者データと国際刑事裁判:国際人道法の履行に関与する科学・技術ネットワーク」『ノモス』、関西大学法学研究所、No.46、17-36頁、2020年(査読有り)として結実した。 第二に、国連による武力紛争調査は、現在、人権関連組織が主に担っており、その歴史的展開を明らかにした。本来、武力紛争調査は、国際人道法にかかわるものが主であることから、人権関連組織よりも、国際人道法に関連する組織が担うべきものである。しかし、国連には国際人道法の履行監視を行う組織が存在しないため、人権関連組織がその役割を担ってきた。詳細は五十嵐元道(単著)「国連が担う国際人道法の履行促進メカニズムに関する一考察――武力紛争にかかる事実調査の歴史的展開」『関西大学法学研究所研究叢書』(近刊)として発表する予定である。
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Research Products
(2 results)