2021 Fiscal Year Annual Research Report
Production Network and Business Cycle cost : Theory and Quantification
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19K13645
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高橋 悠太 一橋大学, 経済研究所, 講師 (10835747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネットワーク / クロスセクション |
Outline of Annual Research Achievements |
取引ネットワークが労働者に与える影響,そしてそのような分析を可能にする枠組みを拡張することを行ってきた.日本の東日本大震災が取引ネットワークに与えた影響,そしてその労働者への影響を量的に分析することを試みた.残念ながらデータを分析した結果,念頭に置いているような労働者の影響は見られなかった.つまり,日本の労働市場はこのような大きなショックにも頑健でありそうだという示唆を得た.これらの議論を踏まえた上で,このようなネットワーク構造を含むようなマクロモデルの構築に取り組んだ.近年では,このような時点を通じた配分の問題だけではなく,同時点の情報,クロスセクションの情報,を組み込んだマクロモデルが分析の主なツールになりつつある.そのうえで,応用ミクロ経済学の枠組みをマクロ経済学に組み込み,モデルの性質を分析した.通常の応用ミクロ経済学で仮定されている条件は,マクロ経済のモデルでは定性的には当てはまらないことをまず示した.これはマクロモデルでは応用ミクロの手法を厳密な意味では応用できない可能性を示している.その上で,定量的なモデルを用いてこれらの条件がどの程度満たされていないか,という観点から分析を行った.我々はモデルを用いて(近似的には,)これらの条件は満たされていることを確かめた.つまり,厳密な意味での仮定は満たされていないが,実務的には応用ミクロの手法がマクロ経済分析においても有益であると示した. EBPMという言葉に代表されるように,よりデータに基づいた分析が望まれている.これはマクロ経済学にも当てはまることである.マクロ経済学においても応用ミクロ経済学の手法を応用できる可能性が広がってきた.我々の分析の枠組みをより一般化,そして応用することで,マクロ経済における政策意思決定においても,より客観的な視点から政策当局者に有意義な分析を提供できるようになると考えている.
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