2020 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークマッチング問題における比較静学とマーケットデザイン
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19K13647
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂東 桂介 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (50735412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / マッチング / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ネットワークマッチング問題における比較静学の理論を構築し、現実の制度設計に応用することを目的とする。ネットワークマッチング問題とは、複数の主体の間の取引を記述するモデルである。比較静学とは買い手と売り手の取引構造の変化に応じて、最終的な取引がどのように変化するかを予測するための理論である。今年度は、より基礎的なモデルである2部マッチング問題に関して、以下の2つの成果をあげた。 一つ目は、``Subgame perfect equilibria under the deferred acceptance algorithm''と題された論文を国際学術誌に出版したことである。そこでは、現実のマッチング問題(学生のゼミ所属など)でよく用いられるDAアルゴリズムと呼ばれる方式に関する新たな性質を明らかにした。具体的には、DAアルゴリズムを実施する際に各参加者が希望順を逐次的に表明する場合、参加者の戦略的行動によって導かれる均衡は一意に決まることを証明した。 また、``Stability property of the core in a generalized assignment problem''と題された論文を完成させた。そこでは、複数の売り手と買い手が金銭移転を行いながら財を取引する状況を考察している。既存研究では均衡における取引結果を記述するためにコアと呼ばれる概念が用いられている。本研究では、コアを均衡概念として正当化するための新たな性質を明らかにした。具体的には、各売り手と各買い手がより良い取引相手に変更するプロセスはコア配分に収束しうることを証明した。本研究は早稲田大学で開催された2 days Game Theory workshopで報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネットワークマッチング問題の比較静学に関する理論を構築するに辺り、いくつかの困難な点があることが判明したため、予定より進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワークマッチング問題の比較静学に関する理論を構築するに辺り、新たな手法を導入しながら分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスのため発表予定であった国際会議SAET2020(ソウル), 及びGAMES 2020(ハンンガリー)が延期となった。
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Research Products
(3 results)