2021 Fiscal Year Research-status Report
マクロ経済安定化に関する研究:政策介入期間最小化による特徴づけ
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19K13650
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐藤 健治 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (60634227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金融政策 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
スパースモデリングの手法を最適金融政策に適応する方法を検討するため、数値シミュレーションを実施した。マクロ経済モデルとしては最も単純なニューケインジアン型の3方程式モデル(IS方程式、AS方程式、金融政策ルール)をベースにしたモデルを採用した。本年度の研究としては、テイラールールのような観測フィードバックを考慮せずに、L0最適制御およびSOAV最適制御則(SOAV, Sum Of Absolute Values)に基づいて最適金融政策の計算を行った。したがって、名目金利は最適な値を自由に選べるという条件のもとで、分析している。
通常、現実の政策金利の誘導目標は 0.25%ポイント刻みで変化するという離散値性を持っている。連続値を取りうる最適金融政策のモデルと、離散値のみを取る最適金融政策のモデルでは、政策金利の変化のタイミングが異なる可能性があるため、離散値性が及ぼす影響の検証は有益であると考えられる。
今回は、指定した離散値から外れることに対するペナルティを設定する SOAV最適制御問題を解き、数値実験を行った。その結果、残念ながら最適解は離散値とはならなかった。理論的な検討の結果、採用したベースラインモデルでは SOAV の十分条件である正規性の条件を満たせないことが分かった。SOAV最適制御について、正規性より弱い条件のもとで離散値制御となるための条件を求める、また、正規性を満たすような最適金融政策の構築が必要であるという課題が見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベースラインモデルは離散値制御(SOAV)の十分条件を満たさないものであったため、現実の金融政策に対するインプリケーションを得るには至らなかった。今後、適用するモデルを広く検討し直す必要性が出てきたため、「やや遅れている」とする。
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Strategy for Future Research Activity |
L0最適制御・SOAV最適制御の枠組みを適用できるマクロ経済モデルを検討する。また、金融政策モデルにスパース解を得ることができない構造的な問題があるかどうかも検討する。さらに、エラスティックネットや CLOTノルム最適制御などの新しい方法を適用することで、金融政策の離散値性をモデル化できないかを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて出張を控えたため旅費の支出がなくなったことによる。
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