2022 Fiscal Year Research-status Report
内生的な企業の異質性を考慮した特許政策および貿易政策の理論的分析
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19K13660
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岸 慶一 関西大学, 経済学部, 准教授 (80803668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 企業ダイナミクス / 売上高のライフサイクル / 企業の参入と退出 / 経済成長 / 貿易自由化 / 局所時間 / パレート分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業の売上高のライフサイクルがどのような特性を持っていれば、貿易自由化が企業の参入・退出に強く影響するのかを明らかにする研究を進めた。ある産業において新規参入企業の期待する売上高のライフサイクルが魅力的であれば、企業の参入が促進される。その結果として産業内競争が激化し低生産性企業の退出もまた促進され、産業の成長に繋がる。 もし参入してから比較的早い段階で大きな売上高を得られ、その高い売上高を長期にわたり維持できると期待できるのであれば、新規参入企業にとってその産業は非常に魅力的であり参入促進と産業の成長につながるだろう。さらに売上高が大きい企業ほど輸出する傾向があることを踏まえると、上述したような魅力的な売上高ライフサイクルの産業では貿易自由化の参入促進効果が強く出ることが予想される。 このような予想を理論とデータから確認するため、企業の売上高のデータを利用して各産業の売上高のライフサイクルを整理した。例えば、産業によって売上高の成長率およびその標準偏差には差がある。このような売上高成長率の特性の違いが、参入後早い段階で高い売上高を達成しやすい産業、今期売上高が高かったとしても来期にはそれを維持しにくい産業など、売上高のライフサイクルの違いを生み出す。今後の研究の展開として、産業別の売上高のデータを経済モデルにおけるパラメタの推定に利用し、産業ごとの参入率の違いについて説明を試みる。さらに貿易自由化の経済への効果が強く出る産業を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産業別の企業の売上高などの大規模なデータの取得に時間を要したため研究に遅れが生じている。本研究は分析の途中にあり、論文執筆には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
売上高のデータが持つ種々の特性に合うように経済モデルのパラメタを産業別で推定し、産業による参入率の違いについて説明を試みる。さらに産業別に貿易自由化の効果を推定する。
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Causes of Carryover |
企業の売上高のデータ取得に時間を要したため研究に遅れが生じた。また新型コロナウイルスの影響で海外の学会への参加を控えていた。次年度はデータ分析を進めて論文を執筆し、さらに学会への参加を計画している。
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