2019 Fiscal Year Research-status Report
Research of the History of Environmental Economics Focusing on A.V. Kneese
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19K13663
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西林 勝吾 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (00758237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | A.V.クネーゼ / 水資源管理 / 再生可能エネルギー / 放射性廃棄物処分場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2度の海外調査を行った。1つは、9月に行ったフィンランドの高レベル放射性廃棄物処分場「オンカロ」の調査である。この事例調査は、当科研費により資金を賄ったものではないが、放射性廃棄物処分の問題に注目していたクネーゼの学史研究を進めるにあたり、積極的に位置づけるべき調査であった。処分施設が立地されているエウラヨキ市に滞在し、オンカロの視察の他、同市の市職員・市議会議員、処分場を運営する企業であるPOSIVA社の職員、ジャーナリスト等にインタビューを行った。この調査の成果は、査読学術誌『環境と公害』に論文を投稿中である。 もう1つは、2月~3月にかけて行ったドイツの水資源管理、再生可能エネルギー、放射性廃棄物処分に関する調査である。まず、ルール地方の水資源管理を行うアイフェル=ルール水管理組合、NRW州政府環境省を訪問し、インタビューを行った。また、再生可能エネルギー関係では、再エネ事業を手掛けるアグロクラフト社、UKAへのインタビュー、また協同組合連合会の研究員と意見交換を行った。そして、放射性廃棄物処分関係では、アッセ、コンラートの放射性廃棄物処分場インフォメーションセンターを訪問したほか、アッセの市民団体と交流し、意見交換を行った。ドイツ調査の成果発表については、現在検討中である。 海外調査の他にも、文献調査を進め、海外査読誌に投稿する論文を2本準備中である。一つは、クネーゼの水資源管理を起点とし、水管理組合の導入によって宇沢弘文の社会的共通資本の数理モデルをアップデートする論文である。もう一つは、クネーゼが70年代に取組んだ物質収支アプローチを再検討し、経済学史の文脈に位置付ける論文である。 こうした研究を通じて、環境問題の経済学的議論を喚起することを意図している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査を2度実施し、効果的な情報収集を行えたから。また、海外査読誌への投稿予定論文の具体的イメージが固まりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ドイツを中心に、水資源管理、再生可能エネルギー、放射性廃棄物処分に関する現地調査を行っていく。また、本研究の主対象であるA.V.クネーゼが在籍していた未来資源研究所(Resources for the Future:ワシントン)に連絡をとり、インタビューを行う計画を立てている。一方で、現在は新型コロナウィルスによる影響で海外渡航が困難な状況にある。したがって、事態が落ち着くまで、海外調査の計画を練る一方で、海外調査に直接影響を受けない理論系、学史・思想史系の論文執筆を集中的に進める(今年度は2本、来年度は1本、海外査読誌に投稿予定)。そして、本研究の最終年度に出版予定である書籍の完成に向けて、作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
書籍およびノートパソコンの購入手続きが遅れたため。なお、書籍(20万円程度)とノートパソコン(30万円程度)については、2020年度中の購入を予定している。
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