2021 Fiscal Year Research-status Report
高次元マクロ計量経済学における大域的推測理論の確立
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19K13665
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 良公 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40835279)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 偽発見率 / 検出力 / ファクターモデル / スパース性 / ベクトル自己回帰 / 高次元データ / ポートフォリオ選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績は大きく分けて以下の3つである. 1.ウィークファクターモデルの推定・推測理論の確立:多くの経済・金融時系列データは,従来のファクターモデル(ストロングファクターモデル)の枠組みで扱うのが適切でないような「弱い」ファクター構造を持つことが指摘されてきた.この性質を反映したモデルが,スパースなファクターローディングを仮定することでシグナル強度をコントロールした、ウィークファクターモデルである.2021年度は,このモデルの推定と推測についてまとめ専門誌に投稿したのちに改訂し,その結果2本の論文のJournal of Business & Economic Statisticsへの掲載が決定した. 2.高次元ベクトル自己回帰モデルにおける推測理論の確立:2020年度中に、高次元ベクトル自己回帰モデルにおける大域的な推測手法を提案した.まずlasso推定量のバイアスを除去することで,漸近正規性をもつ推定量を構成し,それに基づいてt検定統計量を構築する.それを用いて適切な棄却域のもと多重検定を行い,偽発見率(FDR)をコントロールしながら,全係数の有意性を判断する.また、ブートストラップによる修正手法も提案した.2021年度は,これら2つの手法について,統計的性能を保証する理論を付けた. 3.大規模ポートフォリオ選択問題への応用:偽発見率をコントロールしたうえでの変数選択の手法を,大規模ポートフォリオ構築に応用する.先行研究によると,lassoでの選択が漸近的に効率的だということだが,これでは依然として不要なアセットを多数含んでしまう.この点を改善するため,偽発見率をコントロールした選択手法を用いる.2021年度は, 統計的変数選択を伴うポートフォリオ組成の概念を,ファクターモデルと関連付けてフォーマルに定式化し,理論構築のための基礎を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り,2021年度は専門誌Journal of Business & Economic Statisticsへの2本の論文の掲載が決定した.また,これらの研究に基づいて2021年度 中には日本統計学会での研究報告を2回行った.さらにこれらの研究に加えて,現在は高次元自己回帰モデルにおける大域的推測や,大規模ポートフォリオ選択問題への応用を進めている.このように,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
高次元ベクトル自己回帰における多重検定による偽発見率コントロールの手法の研究論文がほぼ完成したため,2022年度中の投稿と採択を目指す.また,大規模ポートフォリオ選択への応用について,さらなる実証分析と,その理論解析を進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
コロナの影響等により,出張計画に変更があった.しかし次年度使用額は高額ではないので,大きな計画変更はなく2022年度中に執行予定である.
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Research Products
(7 results)