2023 Fiscal Year Annual Research Report
高次元マクロ計量経済学における大域的推測理論の確立
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19K13665
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
植松 良公 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 准教授 (40835279)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ファクターモデル / 高次元データ / 分散共分散行列 / ポートフォリオ選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究業績は以下の通りである。 1.ファクターモデルにおける識別可能性の問題に関する研究:近似的ファクターモデルは識別性の問題を持つことが知られている。これについて、Baiらは推定量に依存する回転行列を用いた理論を展開しているが、推測においては適切とは言えない。本研究では、ランダムでない回転行列の存在を証明し、それに基づいた漸近理論を改めて構築した。これらの結果をまとめた論文は、海外専門誌からの改訂要求を受けて改訂中である。 2.高次元分散共分散行列の推定に関する研究:一般に、分散共分散行列の推定は高次元になると困難であり、何らかの次元削減が必要となる。Fan et al.(2011, AoS; 2013, JRSSB) では、ファクターモデルを用いて次元削減をしたうえでの分散共分散推定を論じている。本研究では、観測可能なファクターと、潜在的ウィークファクターを用いた次元削減への拡張を提案した。研究成果は計量経済学の海外専門誌であるEconometrics Journalに投稿し、改訂ののち掲載採択された。 3.大規模ポートフォリオ選択問題への応用:2022年度に引き続き、大量の投資可能資産から効率的なポートフォリオを構築する方法を考察している。lassoによるスクリーニングの理論的な正当性を示したうえで、実データを用いたパフォーマンス評価を行った。これらの結果を論文にまとめ、現在は海外専門誌への投稿の準備をしている。
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