2019 Fiscal Year Research-status Report
社会選好とコミュニティのガバナンス形成に関する実験・行動経済学研究
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19K13676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芦田 登代 東京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (80724898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害復興 / 被災地 / 経済実験 / 社会的選好 / 自然災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は被災地でのより公平な資源配分を目指すために、個人は公平な配分を行うか否か(利他的か否か)、また、被災の程度に応じて利他的に振る舞うか否か、属性による違いがあるか等を明らかにすることを目的としている。そのために、被災者の選好を測るためのフィールド実験の設計・実施を行い、かつ過去に行った調査データとも関連付けながら検証を行おうとするものである。 まず初年度に実施した内容は、下記の3つである。第一に、先行研究のサーベイ、調査票の設計および分析モデルの構築の検討を実施した。調査票には、最後通牒ゲームや独裁者ゲームを組み込み、また、実験実施の手順等をまとめたマニュアルの作成も行った。実験の設計には研究協力者の助言を得た。第二に、ベースラインで用いる調査データの分析を精緻化し、国際誌に投稿した。第三に、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)が実施する2019年度実施の郵送調査(フィールド実験実施予定の自治体に在住する住民を対象に実施)に、Ashraf, N., Karlan, D., & Yin, W. (2006)で用いられた時間選好の質問等を追加した。これは、ベースラインに用いるデータではサンプル数が少なかったため、その説明を補強するために行ったことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響があって、実施自治体でのヒアリング調査やプリテストの実施には至らなかったが概ね計画通りに進行した。その理由として、実験実施予定の現地研究者等の協力があって対象者の選定に用いるデータの提供を得られたこと、実験の調査票原案が出来たことにある。また、関連する他地域ではあるが、経済実験参加の機会についての意見が得られた(機会の公平性の確保など)。次年度以降の実験実施の際に活かしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の主な予定はフィールド実験の実施である。コロナ禍の影響があり予定通りに進まない可能性はあるが、できる範囲内での準備は進めていく。実施については、コロナの状況がある程度落ち着いたら、自治体職員や現地の協力研究者と話しあう予定にしている。コロナのことを踏まえて、実施時期ややり方(実験の1セッションあたりの人数を少なくする、広めの部屋を確保する等)の工夫が必要かもしれない。念のため、実験が実施できなかった場合の代替策も考えておく必要があると考えている。それ以外には、1つに調査票の見直し、2つにベースライン調査の分析の精緻化を進めて、ディスカッションペーパーをまとめていく計画にしている。
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Causes of Carryover |
プリテストを実施する予定にしていたが、コロナの影響で実施を取りやめた。打ち合わせのための旅費やプリテスト実施にかかる費用(謝金等)は、次年度以降に振替の計画にしている。
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Research Products
(3 results)