2019 Fiscal Year Research-status Report
土地開発に関する阻害要因の実証分析: 江戸時代の土地制度を用いた自然実験的接近
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19K13682
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 潤一 神戸大学, 経済学研究科, 助教 (80800606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土地開発 / Longer Time Horizon / Lot Size Premia / 大名 / 東京 / 開発経済学 / 日本経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済発展の大きな要素である土地の開発を考えた際、政府や民間の主体が土地開発にあたりどのような阻害要因に直面しているのかは重要な問題である。そこで本研究では、土地保有に関する不確実性と取引費用の土地開発への影響を定量化する。具体的には、 (問い1)政府に関しての土地保有見込みと土地開発の関係を見るために、常に領地を没収されるリスクがあった大名が、将来にわたって確実に領地を保有する見込みを 得ることで、領地への土地開発改良投資を増やすのか (問い2)土地所有者間調整コストと土地利用高度化の関係を分析するために、歴史的に大 名屋敷のような大土地所有が行われた結果、所有者が少なく取引費用が低いと考えられる状況が都市内に存在するとき、それがその後の都市の発展などにどう影響するか、という二点を分析する。今年度は、(1)に関しては開発経済学のトップジャーナルであるJournal of Development Economicsへの投稿をし、改定要求を得ることができた。またその過程を通し、補助的な追加データの入力を行い再投稿を行なった。(2)に関しては、地籍図や地籍台帳の入力などを進めることができた。特に、現代において高い地価を示す旧大名屋敷地が、戦前においてむしろ低い地価を示していることを発見した。これは旧大名屋敷地が持つ広い区画の価値が、戦後の高層建築技術の発展やサービス業への構造変化を通して高くなってきたことを示唆しており、区画の持つ価値の源泉に迫る重要な発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りのデータ整備と分析が進んだ。また開発経済学のトップジャーナルからの改訂要求は計画よりも良い結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
(問い1)に関するJournal of Development Economicsからの改訂要求については引き続き対応しつつ、(問い2)に関しては政府統計等を分析に追加し実際に大名屋敷地が高層ビルを通じてどのように企業の生産性へ影響を与えているか分析を拡充していく予定である。
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Causes of Carryover |
見積もり時には判明していなかったデータ作成時の項目数の変化などで微小な差が生じ次年度使用額が生じた。翌年度以降の使用計画は当初予定を基本に、出張費を補助的データ作成のための人件費や遠隔会議のための通信サービス費等に割り振るなどCOVID-19の感染拡大状況に合わせて効率的に使用する。
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Research Products
(3 results)