2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13685
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| Research Institution | Hiroshima University |
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Principal Investigator |
高島 伸幸 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (20761331)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 国際環境協定 / 地球環境問題 / ゲーム理論 / 繰り返しゲーム / 汚染削減技術 / 戦略 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化など地球環境問題の解決に向けて，各国が汚染削減に関する交渉を行い国際環境協定を締結する必要がある．これまでゲーム理論を用いて，「多数の国が加盟する協定」を実現するための制度設計に関する理論分析が行われてきた．分析手法の1つである繰り返しゲームは，複数の国が汚染削減に関する意思決定を行う状況が無限回繰り返される場合を考えることから，協定からの逸脱を想定しつつ長期的な協力関係の維持の実現を考えるのに有効であるといえる．
しかし繰り返しゲームを用いた国際環境協定の先行研究では，発展途上国の加盟を促す制度の検討や，協定における各国の行動規定（戦略）において「現実への適用性」という観点での議論が十分になされていないという問題がある．
本研究は，主に繰り返しゲームの枠組みで，発展途上国を含む多くの国による加盟を長期的に維持する方法や，戦略を中心に協定の制度を見直し現実への適用性の高い制度を理論的に示すことを目的としている．さらにこれらを複合的に解決する方法についても模索し，各国の協力関係を長期的に維持する協定の在り方を包括的に示すことを目指す．
今年度は，第1に発展途上国による加盟を実現するための基本的な制度の検討や，環境協定における戦略の整理を行った．まず先行研究のサーベイとして，汚染削減技術改善など，多数の国の加盟を実現する手法について分析を行った文献や，繰り返しゲームを用いて環境協定の制度設計を行った文献を中心に精読を行った．その後，各テーマにおける基礎段階の研究を行った．その1つとして，一回限りのゲームおよび対称的な国家のケースで，改善された汚染削減技術の導入に際してのルールを新規に設け，全ての国が加盟する条件等について分析を行い，当該領域における研究成果の蓄積を行うとともに，繰り返しゲームおよび非対称国家のケースへ拡張するための課題を得た．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の整理や基礎的分析などを行うことができたため，おおむね順調に進んでいると判断される．成果を論文としてまとめ，海外の査読付き研究誌に投稿し，受理された．
基礎的研究がおおむね順調に進展していることから，次年度以降での更なる発展が期待できる．
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| Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究を進めつつ，得られた結果を更に発展させて，より現実的な仮定のもとで分析を行う．
また各テーマの複合的な解決も図りながら，本研究の国際的競争力を高め，国際的に評価される研究成果が得られるようにしたい．
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| Causes of Carryover |
投稿している論文の査読プロセスが長く，改訂を行った場合の英文校閲などを次年度以降に実施することを余儀なくされた．また2020年3月に国際学会にて研究報告を行う予定であったが，新型コロナウイルスの影響で開催自体が中止となった．
次年度の前半は，新型コロナウイルスの影響で学会の開催が中止となる場合やオンラインで行われる場合などが考えられるが，計画通り英文校閲や成果の発表準備などを実施する．よって研究遂行に影響はない．
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