2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13690
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
白井 大地 東北学院大学, 経済学部, 講師 (90823675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 財政政策 / 企業債務問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
「企業債務問題が生じているもとで財政政策の政策介入を正当化できるか」を検討するのが本研究の目的となっている。企業債務の多寡や、債務問題が一時的か永続的かの違いによって、法人減税、歳出拡大政策の効果に違いが生じるか検討するものである。政策介入無しでは債務水準が永続的に高止まりするような状況を永続的な債務問題と呼び、そのような状況のもとでは永続的な歳出拡大政策が、企業の最適債務比率への影響を通じて企業の債務返済を促し厚生や生産水準が改善することがわかった。一方、政策介入なしでも債務水準が長期的には効率的な水準に収束するような債務問題が一時的なときには、法人減税が税負担の減少によって債務返済が進むことから効率性を改善することがわかった。 財政政策が効率的かどうか、政策介入の正当化を検討に必要な社会的厚生関数の形状が結果に影響する可能性があるため、追加的にエッジワース補完性を考慮した効用関数を導入した拡張を行い、分析結果の頑健性について分析を行った。結果は定量的な差は多少あるものの、上記の結論は頑健であることが確認できた。それらの成果を踏まえて論文Shirai (2021)をまとめて、ワーキングペーパーとして公開した。研究の成果は日本経済学会、京都大学 マクロ経済学研究会などで研究報告をした。 本研究は企業に債務問題が生じているもとで十分借入ができない状況を分析するために、借入制約を導入している。基礎研究であるKobayashi and Shirai (2021)は国際学術雑誌の査読者よりコメントが得られ改訂を進めた。従来の分析では一部の企業が過剰債務を負っている状況を外生的なショックによって生じると仮定して分析を行っていた。今年度の分析により大きな生産性ショックによって永続的な債務問題が内生的に生じ得ることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エッジワース補完性を考慮した分析を終え、まとめた結果をワーキングペーパー化することができたものの、昨年度に引き続きコロナ禍の影響で研究会、および学会の中止が重なり研究報告の機会が十分確保することができなかったため、成果発表および、フィードバックを受ける機会が失われてしまった。また当初予定しなかった基礎研究の見直しが必要となったため、計画時よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き今年度も計画時に予定していた学会報告、研究がオンライン化や開催中止となり旅費の支出が大幅に減少した。次年度も引き続き感染状況によって旅費に関して不確実性があるため、研究に必要なソフトウェアやコンピュータ関連の整備に支出を予定している。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き今年度も計画時に予定していた学会報告、研究がオンライン化や開催中止となり旅費の支出が大幅に減少した。今年度も引き続き感染状況によって旅費に関して不確実性があるため、研究に必要なソフトウェアやコンピュータ関連の整備に支出を予定している。
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Research Products
(5 results)