2021 Fiscal Year Research-status Report
A new spatial hedonic method: The development and applications to housing market
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19K13697
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
定行 泰甫 成城大学, 経済学部, 准教授 (90800920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘドニック / 空き家 / 事故物件 / アクセシビリティ / 地理情報 / 外部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、空き家の発生要因や利活用の促進要因について分析した研究が、海外雑誌Journal of the Japanese and International Economiesに刊行された。本研究では、2011年と2016年の2度にわたって東京都豊島区で実施された空き家の全数調査を用いて、どのような戸建てが売却されずに空き家となったのか(発生要因)、そして2011年に空き家だったもののうち、どういった戸建てが2016年までに空き家が解消され利活用が促されたのか(利活用要因)について分析した。その結果、地価の影響をコントロールしたうえでも、狭小地や建て替え要件を満たしていない土地で、空き家が発生しやすく、また利活用されにくいことがわかった。空き家の所有者は自分が満足する価格で誰かが購入してくれるのであれば空き家を手放すことになるが、その「満足する価格(経済学では留保価格と呼ぶ)」が市場の評価する価格よりも高いと、なかなか買い手が見つからない。所有者の満足する価格は、所有者にとってのこれまでの住宅や土地への愛着に依存するものの、将来他人に譲渡したあとの土地利活用の利便性までは十分に織り込まれないため、所有住宅が既存不適格の場合は市場価格が所有者の「満足する価格」より低くなり空き家となる確率が高くなっている可能性があることがわかった。また、町内会参加率の低下が著しい地域では、2011 年度の調査で空き家だった住宅が 2016 年度でも引き続き空き家である確率が高いことが統計的に示された。 また、事故物件についても、事故物件の外部性や立地分析を進めるために必要なデータセットを一通り構築し終え、その成果の一部を、環境科学会の学会発表、及び、全日本不動産協会のセミナーにて報告をした。また、事故物件の投稿に関する分析をディスカッションペーパーにまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果が1つ査読論文として学術誌に掲載されたこと、また、来年度の投稿に向けてディスカッションぺ―パーを執筆できたこと、さらに、データ整理が一通り整ったことから、順調に研究課題を遂行できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
空き家の分析では、2016年の調査で空き家であった土地を追跡調査し、利活用のあり方について検討を行う。事故物件の分析では、不動産取引データと事故物件サイトから提供を受けたデータを用いて、事故物件が当該物件及び近隣住宅の資産価値に及ぼす影響を検証し、事故物件の種類・期間・場所などに応じた告知のありかたについて検討していく。
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Causes of Carryover |
年度末における研究補助員の作業予定時間と実際の作業時間に差があったため、「次年度使用額」が生じた。次年度は、研究成果を出すためのデータ整理を進めるために、助成金を物品費と人件費に当てる。コロナの状況が改善された際には、出張を実施するための旅費を支出する。
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Research Products
(4 results)
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[Book] 住まいの百科事典2021
Author(s)
一般社団法人 日本家政学会 住居学部会
Total Pages
742(分担執筆)
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621305812