2019 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness of feed-in tariff and renewable portfolio standard under limited regulatory capability in network access
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19K13698
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
庫川 幸秀 金沢星稜大学, 経済学部, 講師 (80749200)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FIT制度 / RPS制度 / アクセスチャージ / 再生可能エネルギー / 送電部門 / 規制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、送電部門の規制効果に応じて、主要な再生可能エネルギー政策の効果の優劣がどのように影響されるかを理論的に検証することである。再生可能エネルギー事業者が送電網へ接続する際の接続コスト(アクセスチャージ、送電網増強の費用分担など)は再生可能エネルギーの普及効果に影響する要因である。電力産業における規制改革では通常、送電部門は規制対象となり、送電網への接続コスト(アクセスチャージ)も規制下におかれるものの、送電事業者と規制当局の間の情報の格差に起因して、接続コストへの規制が完全に機能するとは限らない。この点については、送電事業者が努力コストを負担することで、規制当局に提出する会計情報の操作やロビー活動を介して、間接的に規制水準に影響を与えられる状況をMatsumura and Matsushima (2011, 2012)のモデルに基づいて定式化した。また本研究では、送電事業者の努力コストを左右するパラメータを規制効果のパラメータと考え、規制効果が高いほど、送電事業者がアクセスチャージの操作に要するコストが高まる状況を考えた。当該年度は垂直統合のケースについて分析を行い、規制効果が低い場合はRPS制度が、高い場合はFIT制度が、それぞれ再エネ促進において潜在的に他方より高い効果を発揮し得ることを示した。この結果は送電部門の規制のあり方に応じて、高い促進効果を発揮する再エネ促進政策が異なることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直統合のケースについて、規制効果が低い場合はRPS制度が、高い場合はFIT制度が、再エネ促進において潜在的により高い効果を発揮し得ることを示した。また、ここまでの分析結果を学会で報告し、一定の成果を挙げたと考えられる(環境経済・政策学会2019年大会、ベストポスター賞受賞)。進捗の程度も、概ね当初の計画どおりといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は発送電分離の影響について分析をすすめる。さらに、関数形を一般化した場合についても考察を加え、成果を学術論文として取り纏める。
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Causes of Carryover |
原稿執筆用のPC購入を翌年度に持ち越した。今年度はPC購入費用、英文校正費用、および学会旅費を支出予定である。
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Remarks |
環境経済・政策学会2019年大会におけるポスター発表「送電部門における規制効果と再生可能エネルギー政策」においてベストポスター賞を受賞
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Research Products
(1 results)