2019 Fiscal Year Research-status Report
政府系金融機関の融資活動が一国経済へ与える因果的影響の推計
Project/Area Number |
19K13699
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
金澤 伸幸 創価大学, 経済学部, 講師 (20810914)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時系列分析 / 金融政策 / マクロ経済学 / 政府系金融機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクトの初年次となった2019年度の主な実績は2点ある。1点目は分析対象となる政府系金融機関の総貸出額などのデータ整備であり、2点目は分析の際に使用するニューラルネットワークを応用した時系列分析の手法を検討した論文の学術誌への掲載(掲載は2020年の6月)である。 1点目のデータの整備に関しては分析対象の政府系金融機関である住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)と日本政策金融公庫(旧・中小企業金融公庫など)の個人住宅向け、住宅改良向けなどの用途別での新規貸出額、貸付残高、貸付契約額、交付額などのデータを入手し、整理した。これにより、2020年度に政府系金融機関の貸出行動に影響を与える外生的ショックを識別し、データを整備できれば分析を開始する準備を整えることができた。 2点目の時系列分析の新たな手法に関しては、ニューラルネットワークの手法をマクロ経済変数の非線形時系列分析に応用できるかを検討し、その結果を記した論文が学術誌に採択され2020年6月に掲載された。この手法では通常、制限的な仮定を置かなくては推計することが難しい非線形的な時系列分析を、通常よりも緩い仮定を置いても柔軟に推計できることが明らかになり、更にマクロ経済学データを使った時系列分析での妥当性も示された。本研究プロジェクトにも非線形的な時系列分析を取り入れることで、ショックが起きる時期や経済状態によって政府系金融機関の活動がマクロ経済に与える影響は変化するのか?などの問いに答えることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では2019年度の12月までに貸付などのデータを整備し、1-3月に学生アルバイトを雇い、文献をもとに政府系金融機関の貸出行動に影響を与える外生的ショックを抽出する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で図書館の使用が困難となり、また大学構内への立ち入りすることも難しかったので、計画よりもやや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は文献をもとに政府系金融機関の貸出行動に影響を与える外生的ショックの抽出とデータの整備を完了させ、分析を開始し、分析結果をまとめる計画である。 研究を計画通り進めていくためには、学生の大学構内への自由な立入が可能となり、学生アルバイトが安全に働ける環境を確保する必要がある。現在、対応策を検討中である。
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Causes of Carryover |
当該年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、年度の終わりに図書館利用の制限、また学生アルバイトを雇うことも困難となったことの影響もあり人件費は発生しなかった。また国内・国外での学会発表も行わなかったので、旅費も発生しなかった。 次年度は当該年度で行うことのできなかった分、学生アルバイトの雇用を増やし研究を進めていく。
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