2020 Fiscal Year Research-status Report
政府系金融機関の融資活動が一国経済へ与える因果的影響の推計
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19K13699
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
金澤 伸幸 創価大学, 経済学部, 講師 (20810914)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政府系金融機関 / 住宅 / 中小企業 / 金融政策 / マクロ経済学 / マクロ経済政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、政府系金融機関の一つである住宅金融支援機構(旧・住宅公庫)の貸出方針に関して、歴史的背景を調査した文献をサーベイした。サーベイの主な目的は貸出方針への外生的ショックの抽出である。住宅金融支援機構など政府系金融機関の活動がマクロ経済に与える因果的効果を測定するにあたり、住宅金融支援機構の貸出方針が経済的理由とは異なる理由(政治的な理由や長期的な政策目標などによって起きた方針転換)によって変化した「ショック」を抽出する必要がある。この手法はNarrative Approachと呼ばれ、ショック抽出の基準が研究者の恣意的な思惑に影響を受けないよう、ショック選定基準が明確であることが求められる。そのため、貸出方針が変更した理由・動機などに基づく抽出基準の透明化と、またそれぞれの方針変更理由の背景・動機を細かく文章化しまとめておくが重要である。またこれらの政府系金融機関が経験したショックのマクロ経済への影響の測定が本研究の目的であるので、それぞれのショックはマクロ経済に影響する可能性があるほど規模の大きいものである必要がある。これらの基準を満たすショックを抽出するため、2020年度は外生的ショックの候補となる出来事の時期・背景のリスト化に多くの時間を費やした。リストが完成次第、上記の基準を満たすような外生的ショックを選定し、そのショックが住宅金融支援機構の貸出方針にどの程度影響を与えたのか推定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況として「やや遅れている」とした理由は2点ある。 第1に、2020年度はコロナ禍が続いたため、授業のオンライン・ハイブリッド対応に追われ、十分な研究時間の確保が困難となった。住宅金融支援機構の歴史的背景をサーベイし、関係のある個所を整理するには膨大な時間を要すが、当初予期していなかった授業準備の負担増により、本研究課題の進捗が遅れている。 第2に、コロナ禍が続いたことにより学生のリサーチアシスタントの手配が遅れている。研究資料が多いため当社は研究室で研究の補助作業をしてもらう予定であったが、学生の大学構内への立ち入りが禁止・または推奨されない時期が続いたため、リサーチアシスタントを雇うことに遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、住宅金融支援機構の貸出方針に影響を与えた出来事の抽出、リスト化、またそれらの出来事の背景の丁寧なドキュメント化を迅速に進めていく。また、コロナ禍は2021年度も続くとの想定で、リサーチアシスタントを可能な範囲で雇い、作業の効率化を図る。
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Causes of Carryover |
上記の通り、当初予定していたリサーチアシスタントの雇用が遅れているため、2020年度使用額が少なくなっている。また研究全体の進捗も遅れているため、研究会参加費や出張費などに科研費を支出していない。今年度はリサーチアシスタントを雇用し、早い段階での研究成果の報告を目指し研究を進める。
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