2022 Fiscal Year Research-status Report
政府系金融機関の融資活動が一国経済へ与える因果的影響の推計
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19K13699
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
金澤 伸幸 創価大学, 経済学部, 准教授 (20810914)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政府系金融機関 / 住宅 / 中小企業 / マクロ経済政策 / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政府系金融機関の政策変更が及ぼす短期的なマクロ経済への影響を明らかにすることである。住宅金融支援機構など政府系金融機関の活動が与える短期的なマクロ経済効果を推計するにあたり、住宅金融支援機構など政府系金融機関の貸出方針が短期的な 経済的理由とは異なる理由(政治的な理由や長期的な政策目標などによって起きた方針転換)によって変化した「ショック」を抽出する必要がある。この手法はNarrative Approachと呼ばれ、ショック抽出の基準が研究者の恣意的な思惑に影響を受けないよう、ショックの選定基準が客観的に明確であることが求められる。そのため、貸出方針が変更した理由・動機などに基づくショックの抽出基準の透明化と、またそれぞれの方針変更理由の背景・動機の細かな文章化と分類化が重要である。またこれらのショックのマクロ経済効果測定が本研究の目的であるので、それぞれのショックはマクロ経済に影響しえる程度に大きい規模である必要がある。
2021年度から引き続き、2022年度も抽出基準の透明化と詳細な分類に注力した。2022年度は新たに複数の学生リサーチアシスタントを雇用し、また画像認識ツールと生成系AIを活用し、資料の読み込みから情報の抽出・整理までを自動化し効率的に資料の整理を進める試みに取り組んだ。2022年度末の時点では自動化した情報の抽出の精度を慎重にチェックしながら進めている段階である。今度は抽出したショックのデータベース化を行い、それ自体が今後の研究に資する有意義な貢献となることも目指しており、丁寧に資料の整理を行っていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗が当初の計画に比べて遅れている主な理由は次の2点である。1点目は、研究開始直後に新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、その対応に時間とエネルギーを要しために生じた後れを取り戻せていないことが挙げられる。そして2点目は資料の読み込みや情報の抽出・整理作業が計画よりも手間取ったことが挙げられる。当初は複数人の学生リサーチアシスタントを雇い、資料化を進めていたが、想定以上に時間がかかっており、現在は情報の抽出・整理のプロセスを自動化する方向で検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、住宅金融支援機構、国民金融公庫・中小企業金融公庫・商工中金の貸出方針に影響を与えた出来事の抽出、リスト化、またそれらの出来事の背景の丁寧なドキュメント化を迅速に進めていき、早期に分析を行い論文として公表できるよう研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究結果報告のための海外出張が行えていないことが使用額が予定していた額を下回っている主な理由である。早急にデータの構築と分析を行い、研究成果の報告をしていきたい。
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