2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13701
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
池田 晃彦 京都産業大学, 経済学部, 助教 (20825799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新興国 / 為替政策 / 固定相場制 / 金融政策 / 資産価格 / 為替介入 / 政策協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度中、担保資産価格を考慮した金融政策の効果に関する研究については、これまでの線形モデルを拡張して非線形のモデルとし、予備的貯蓄などの効果も盛り込む形で修正した。この結果、線形のモデルの場合と同様、固定相場制に近い金融政策が厚生を下げやすい一方、資産価格に反応する金融政策が厚生改善につながる場合が多いことが明らかとなった。この結果について、日本国際経済学会(東京大学, オンライン, 10月)において発表した。さらに、交易条件の外生的変化の重要性も指摘されたことから、この点もモデルに導入する作業を行った。結果として、国の債務残高の状況に応じて交易条件の影響が異なることが示されて、データの示す交易条件の外生的変化の影響を一部再現することができた。この結果について、国際貿易セミナー(新潟県立大学, オンライン, 11月)および学内発表(2月)にて発表を行った。得られたコメントをもとに、現在モデルのさらなる修正とデータへの当てはまりの検証を行い、執筆を進めている。 金融危機防止に関する国家間政策協調に関する研究については、国際学術雑誌に投稿し、査読コメントをもとにさらなる修正を行っている。特に、為替介入に関する先行研究をふまえてこれまで以上に現実の契約に近い形にモデルを再構成した。また、これまでの発表の中で指摘されてきた各国間の相関も考慮できる形の修正を加えた。この結果、協定参加国間の相関が小さい場合に政策協調の効果が大きくなること、相関が大きい場合にも、ほとんどのケースで参加国の厚生が改善することが示された。現在、この修正されたモデルを利用して改訂作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融危機防止のための国際協調に関する研究および国家間の政策協調に関する研究のいずれについても、モデル修正の主要部分を令和3年度中に完成することができ、発表を経て投稿に向けた改訂作業を進めている。さらに、景気循環の要因に重点をおいた2つの研究については、令和2年度までにそれぞれ論文として発表を完了した。以上をふまえ、おおむね順調に進められていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
国家間政策協調に関する研究および担保資産価格に注目した研究のいずれについてもモデル修正の主要部分が完了したため、改訂・執筆作業を進め国際学術誌への投稿を行う。また、後者については、令和4年度中に Western Economic Association International での発表も行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度に参加した学会はいずれもオンライン開催となったことから、参加のための費用が想定よりも少額となった。一方、同年度中に拡張・修正したモデルに関して改めて発表、投稿、および英文校正が必要となったため、残額をそれらの費用に充てる予定である。
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