2020 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analyses of Tobacco Purchasing Behavior Using Large-Scale Consumer Panel Data
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19K13717
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
YAO YING 一橋大学, 社会科学高等研究院, 特任講師 (30810915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Tobacco consumption / Product availability / Natural experiment |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は当初計画の通り、「Availability」に関しての研究を中心とし、その研究成果について研究会で発表を行った。本研究課題の大枠は以下の通りである。
本研究では、東日本大震災による一部のタバコ製品の供給停止を利用し、製品規制がタバコ製品選択と消費に与えた影響を分析する。タバコ製品の選択肢が制限されると、消費量がどう変化するか、また、政策的に有害物質の量が少ない製品を消費者に選ばせることができるかの問いに答える。具体的には、日本における大規模消費者購買データ(Intage SCI, 2010~2014年)を用いて、震災によって影響を受けなかった銘柄の愛好者との比較を使った「差の差分析」を基本的なアプローチとし、製品の供給停止前後で、タールとニコチンの摂取量の測定値を基にタバコの購買行動を分析した。製品が入手できないことで、消費者は低タール・ニコチンのタバコに切り替え、たばこの購買量やタールとニコチンの消費量が長期的に大きく減少していることが分かった。従来、喫煙率を低下させるには課税が最も効果的であると考えられてきたが、本研究の結果は消費者の選択を制限することもたばこ規制の有効な手段であることを示唆している。
これらの研究結果を国際会議(6th Irdes-Dauphine AHEPE Workshop)や行動経済学会で報告し、専門家による分析手法や結果の解釈に関する議論を行った。専門家から得られたフィードバックをもとに、識別戦略の強化や結果の頑健性の確認など、より精緻な実証分析を行うための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究結果を積極的に発表し、論文の初稿を完成させ、当初の研究計画に想定していた通りの進捗があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、学会にて積極的に発表し、実証分析の精度を上げるため追加的な議論や分析を行う。具体的に、これまでのように震災による廃止銘柄の購買者を分析する代わりに、計画された銘柄廃止によって影響を受ける消費者購買行動を分析することで、地震による製品の供給停止と消費者行動の外生性を確認する。また、短期と長期の購買行動を追加分析することで、結果の頑健性を確認する。これらの作業が完了後、論文を修正し、国際的な査読雑誌に投稿する予定である。
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