2020 Fiscal Year Research-status Report
有権者の投票行動と政策への民意の反映についての政治経済学的実証研究
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19K13718
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡部 智人 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (50768364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 投票行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有権者の投票行動と為政者によって実行される政策との関係について、行動学的投票理論に基づいて実証的に検討することを大きな目的としている。令和2年度は、前年度に引き続いて英国における投票率の世代間差異についての分析を進めた。具体的には、データの利用制約から保留としていた回答者の居住地についての情報を分析に加えて、従来の分析結果が支持されることを確認した。これにより、居住地に関係なく、4つのライフサイクルイベント(結婚、子供、定住性、持ち家)の経験が投票率の向上に寄与していることを示すことができた。この結果は、年齢が高いほど投票率が高いという集積データの傾向と整合的であり、なお且つミクロデータから一定の説明を与える成果であると言える。また、分析にあたっては、様々な回帰モデル(線形・非線形)、2つのパネルデータ(The UK Household Longitudinal Study及びNational Child Development Study)を採用することによって、結果の頑健性を複数の観点から確認することに努めた。当該研究成果をまとめたワーキングペーパーを執筆中である。 一方、新たな取り組みとして、居住地情報を選挙区と突合させ、選挙結果と政策との関係について分析枠組みの構築を開始した。現地の事情に詳しい英国在住の研究協力者と定期的にオンライン打ち合わせを行った。 なお、本年度はパンデミックの影響により、データ提供元である英国データアーカイブセンターや研究代表者及び研究協力者の所属大学の一時閉鎖等によって研究を大幅に制約される事態となったことを申し添えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部のデータについて英国データアーカイブセンターの使用許可願を出していたが、パンデミックの影響を受け、事務所の閉鎖・混乱が長期間続き、分析を一時中断せざるを得なかった。また、研究代表者及び研究協力者の所属大学の一時閉鎖等によって制約を受けたことも影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
英国の投票率の分析についてはワーキングペーパーを公刊し、さらに学術誌への投稿を予定している。選挙結果と政策との関係について分析を具体化させたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国内・海外出張がパンデミックの影響によって中止に追い込まれ、予算を十分に消化することができなかったため。未使用額については次年度の出張費用に充当したい。
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