2022 Fiscal Year Research-status Report
有権者の投票行動と政策への民意の反映についての政治経済学的実証研究
Project/Area Number |
19K13718
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡部 智人 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (50768364)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は第二のプロジェクトに当たるアフリカの民主主義と経済発展に関する研究を行った。具体的には、アフリカ地域の多くで続いてきた内戦が経済発展にどのように障害になっているのかについて、理論的に考察した。従来のマクロ理論では内戦は国の経済に負の影響を与える一時的な出来事として定義されるが、長期の内戦への当てはめには難がある。また、アフリカ地域の低成長については、実証研究によって、海外機関による経済援助プロジェクトの非効率性、金融システムの脆弱性、公共インフラ投資の低迷等、様々な要因が指摘されているが、その連関についての理論的説明は不十分である。そこで本研究では、静的モデルであるBesley&Persson(2011)を参考にしながら、政治的グループ間の資源配分の偏りを発生源として内戦を内生化し、従来の成長理論との融合を目指すことにした。年度末までにモデルの大枠を構築することができた。公共財、給付金、軍事費を表す政策変数が内生的に決定される点がモデルの大きな特徴である。軍事費についてはBesley&Persson(2011)に倣って、政治的グループ間で行われるゲームのナッシュ均衡として政策変数が決定される。民主主義の観点からは、政権与党の対立グループへの資源配分の平等性が内戦の発生を抑制し、民主的な政権移行を可能にするメカニズムとなっている。また、モデル中に埋め込まれた各種パラメーターを調整することで、海外からの資金援助や資本市場へのアクセス費用等が経済成長と内戦の発生にどのように寄与するのか評価することも可能である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、研究成果は上がってきているが、コロナ禍の影響で学会発表ができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該アフリカ研究については、理論構築後、各国のマクロデータ収集と数値計算に取り組んでいる。次年度は成果報告のために学会発表を精力的に行う予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で出張を計画・実施することが困難であったため。次年度は学会報告を精力的に行うため、主に旅費の原資として活用する。
|